zoku勇者 ドラクエⅨ編16 悲しきリブドール・3
ジョーカー男は立ち上がり、客の確認へ……。訪れたのは……。
「何だこれっ!この椅子に座って暫くお待ち下さいだと?
ふざけやがってっ!」
「ジャミル、折角のお持て成しだ、此処は素直に待たせて貰おう……」
「はあ、アイシャ達……、大丈夫かなあ~……って、モン、元気に
なった途端に人の頭叩くのやめて……」
「やっぱりダウドの頭の上は落ち着くんだモン!」
(……ま、これがいつもデスから……、仕方ないわよネ~……)
漸く洞窟内アジトへと辿り着いたジャミル達だった。入って直ぐに、
椅子と手紙が用意されており、バカにしてんのかとジャミ公激怒。だが、
アルベルトに此処は素直にお持て成しを受けようと諭された処である。
……男衆は用意された椅子に腰を落ち着け……ようとした。
「あのガキ共は……、そうか、な~るほど、ひひひ!あのお嬢ちゃんの……」
ジョーカー男はるんたった状態で相方に報告にすっ飛んで行く。だが、
ジョーカー男から事を聞いた角カブト男は怪訝そうな顔をした。
「そうか……、だが、とてもガキ共だけじゃ……、どう考えても金を
搾り取るのは難しいな……」
「幾らでもいーじゃねーですかい!この際、奴らだって一応
冒険者らしいですよ、いいんですよ、持ってる分の金だけでも
せしめちまえば!」
「よし、全然可哀想とも思わねえが……、糞マキナで失敗した分、
此処はストレス解消にいっちょ犠牲になって貰うか!」
「ひひ、ひひひ!」
「……良かったな、で、その犠牲ってのは誰がなるんだ?」
「シャアアアーーーーーっ!!」
「うわあーーーーっ!?」
ジャミル軍団と怒りのモン登場。モンはいつもの倍のSPホラー顔で
盗賊達を脅し。逆にたっぷりとお持て成ししてくれた……。賊共は
モンのカオス顔にショックを受け、またしっこと、今度は実も
少し漏らした。
「お前達の悪巧みも此処までだ!さあ、マキナさんとアイシャを
返して貰おう!2人を何処に連れて行ったっ!言え、言わないとっ!!」
「ひよえーーっ!?」
アルベルトはスリッパを取り出す。……これをやらなきゃアルも
格好つくのになあと、ダウドは苦笑……。
「わわわ!俺達にも分かんねえよーっ!……マキナはあの鉄格子を
自分で壊してどっかへ行っちまったんだよーっ!」
「……何ですと?」
ジャミ公は鉄格子の方を見る。確かにあんな見るからに硬そうな
鉄格子がぐにゃりとひん曲がってボロボロに壊れていた。
「しかも、一緒に閉じ込めておいた嬢ちゃんを抱えて……、
こ、この奥に……」
「ジャミル、マキナさんはアイシャを連れて洞窟の奥に
行ってしまったんだ!追い掛けよう!」
「ああ!けど、わざわざ危険な方向に行っちまったのは
どうしてなんだ……、しかも、……牢屋破壊してくとか……」
ジャミルは天然ボケのマウリヤに呆れる。だが、今は呆れている
暇はない。
「やっぱりそんな簡単に終わる筈ないよねえ~……」
(あったりマエじゃん!ホラっ、ヘタレ、アンタもとっとと動く動く!)
「あうう~!」
サンディは発光体モードでダウドの尻を蹴飛ばすと自分はさっさと
ジャミルの中に又隠れた。
「へ、へへ、俺らはこれで……、退散する訳ねえだろがっ!
金よこせえーーっ!!」
反旗を翻した角カブト男が最後の抵抗で隠していた斧を取り出し、
ジャミル達に襲い掛かって来た。しかし、アルベルトのスリッパ
連打により成敗。どうしようもない賊共は等々その場に倒れ敗北……。
「……うふふ、うふ、う~ふふふ♡いい運動にもなったし、うん!
すっきりしたなあ~……」
「アル……、お前って……」
「……黒いよお~……」
「モン~……」
(ドス黒っ!)
「ん?何かな?」
「……何でもねえよ、それより全部終わったらこいつらサツへ
突き出してやる、それまで此処にふん縛っとこう、……アイシャ達の
気持ちを思い知れっ!よしっ、奴らはこれでいい、先に急ごう!」
ジャミルは丁度側にあった賊共の商売道具の荒縄で2人をふん縛ると、
近くにあったタンスの中に蹴り倒して閉じ込めておく。後はマウリヤと
アイシャ、2人の救出だけである。ジャミル達は洞窟の奥へと……、
足を速める。
「……マウリヤ、アイシャ……、何処にいんだよっ!」
(ジャミル、いたよっ!あれ、ヘンテコお嬢様だよっ!……モンスターに
襲われてる!)
サンディの言葉に前を向くと……、確かにいた。マウリヤである。
漸く見つけた。しかしアイシャはおらず……。マウリヤは左右から
モンスターに挟まれているにも関わらずぼーっとしている。
「危ないよお!」
「助けなくちゃ、ジャミル!」
「ああ、……え、ええ!?」
「はあ、また私の邪魔をするの、……いい加減にしてっ!!」
だが、ジャミル達が助太刀に入る前に……、マウリヤは左右から自分を
襲おうとしている2匹のモンスター、オーシャンクローとデッドペッカーを
拳で軽々と殴り飛ばしたのである。……助けに入ろうとしたジャミル達は
騒然……。しかも、片足で倒れたモンスター共をグリグリと……。モンも
ホラーカオス顔で固まったまま……、おならを落とした。
「あら?ごきげんよう、あなた達も誘拐?されたのかしら」
「……あのなあーーっ!!」
ボケマウリヤはモンスターを掴んで遠くにほおり投げた後、ちょこちょこと
ジャミル達の側に近寄って来る。
「何してるんですかっ!危ないですよっ、それに、どうしてあなた
1人でいるんです!?」
いや、全然危なくなかった様だが……。アルベルトがマウリヤを
問い詰めると、彼女はきょとんとした表情でジャミル達の方を見る。
「アイシャはどうしたのさあーっ!い、一緒にいたんじゃないの!?」
「モン……」
「マウ……、いや、今はマキナの方がいいか、おい、ちゃんと話せ、
何でオメー1人でチョロチョロしてんだよ、それにアイシャは
どうしたんだ……?」
「……そうよ、私の所為よ、……でも、あの子がいけないんだわ、
私なんか……」
マウリヤは急に俯き出すと先程とは打って変わって悲しそうな
顔をするのだった……
「急がないといけないんですが、マキナさん、話して下さい、
一緒に今いないという事は、アイシャに又何か遭ったんですね!?」
「!!」
アルベルトの言葉にジャミルもマウリヤの方を見る。俯いていたマウリヤは
又顔を上げる。
「ええ、でも、その前に……、私も約束だから……」
「モ、モン……?」
マウリヤは今度、モンの方に近寄って行く。……そして、モンの顔を
見つめ、一言。
「……ごめんなさい……」
「モンっ!?」
「マキナ、……あんた……」
見守っていたジャミル達も驚く。マウリヤはモンに向かって頭を下げ、
謝罪したのである。
「私、本当に意地悪な事を……、皆さんの大切なお友だちに謝ら
なくては……、確か、ブーさんだったかしら……?ごめんなさい、
ブーさん……、あら?違ったかしら、えとえと、……そう、ゴリマン
ちゃんさん?」
「……シャ、シャアーー!」
「ストーップっ!モンっ、キャンディーだよっ!イチゴ味だよっ!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編16 悲しきリブドール・3 作家名:流れ者



