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zoku勇者 ドラクエⅨ編16 悲しきリブドール・3

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「ああ!又モンスターっ!」

「邪魔なのっ!もういい加減にあなた達と遊ぶのは飽きたわ!」

ダウドが叫ぶが、マウリヤは又も突っ込んで来たモンスターを蹴り倒し、
倒れたモンスターにおまけで連打チョップしておく。……心配は
要らなかった。

「ふう……、本当に意地悪ばかりするんだから……、冗談じゃないわ……」

「おい、平気かよ、あんまり無理すんなよな……、頼むよ……」

「大丈夫よ、さあ、行きましょう……」

「マキナさん、でも、かなり疲れているんじゃ……、心配ですよ……」

「大丈夫だったら大丈夫なの!もたもたしていると先に行きます!」

「……マキナさん……」

アルベルトも心配するが、マウリヤはかなり焦っている。アイシャの事が
心配で堪らないのだろう。だがそれはジャミル達も同じ。そして、
マウリヤにはある想いが心の中にあった。

(……マキナ、私、決めたの、私の時が止る前に……、ちゃんと
伝えたいの、あの子に……)

「お願い、どうか無事でいて!」

マウリヤは先頭を切って洞窟最深部の穴へと突っ込んで行く。
その後に続くジャミル達とモン。サンディも妖精モードになり、
ジャミルの身体から飛び出た。

「ジャミル、みんな、いたよ、あそこだよ!アイシャが捕まってるヨ!」

「……アイシャっ!!」

ジャミルはサンディが叫ぶ方向を見ると……、確かにアイシャがいた。
マウリヤが言ってくれた様にどうやら無事の様ではあったが、彼女は
蜘蛛糸で拘束され、動けないまま見せしめの処刑囚の様に吊るされていた。
そして、その側には……。

「ズウォォォォ……」

この洞窟の主、妖毒虫ズオーである。捕えた獲物を渡さぬとばかりに
牙を光らせる。そして又新たに巣に入って来た獲物達を見て興奮している。
ズオーは巨大な身体を動かし、ジャミル達に迫って来る……。

「……あは、ア、アタシ、んじゃこれでっ!頑張ってネーーっ!」

「……アイツはまあいいとして、まずいな、アイシャの奴、意識がねえな……」

「……モンーーっ!!」

「こ、こら駄目だっ!落ち着けっ!」

「なんで止めるモンっ!モンなら大丈夫モンっ!!……シャアーーっ!!」

ジャミルはアイシャの側に飛んで行こうとしたモンを慌てて止める。

「大丈夫じゃねえっ!アホっ!見てみろっ、今回のは今までと格が
違い過ぎだ、ちっ、冗談じゃねえぞ……」

「モ、モン~……、思い出したモン、モンも大きいクモに捕まった事が
あるモン……」

ジャミルに言われ、モンも落ち着いて改めて目の前の巨大な化物蜘蛛を
見つめる。そして、記憶を思いだし、怯え始める。ジャミルとの出会いも、
巨大蜘蛛に捕獲され、巣に捕まっていた処を助けて貰ったのが始まり。
確かに下手をすればモンなど一発でやられてしまうだろう。ズオーは
アイシャをすぐに食べようとせず、弱らせてじりじりいたぶって楽しんでいる。
……趣味の悪いクソモンスターだった……。

「でも、此処で躊躇している訳にはいかないよっ!まずはこいつを
倒さなくちゃ!モン、マキナさんを頼むよ!……行こう、ジャミル!
ダウド!」

「モン~……」

「あなた達……」

「ああ、出来るだけアイシャからこいつを引き離して戦う!行くぞっ、
お前らっ!!モン、此処から絶対動くなよっ!!」

「ううう~、仕方ない……、オイラも頑張りますっ!」

ダウドも覚悟を決めた様である。まずはジャミルが破邪の剣でズオーを
遠くに弾き飛ばした。ジャミルはその方向目掛けダッシュですっ飛んで行く。
ズオーはかなり遠くまで飛ばされて行った様子。隙を逃さず、アルベルトと
ダウドも倒れたズオーの側まで走って行った。

「……ズォォォォォーーーっ!!」

「モンっ!?」

「……あ、あああ……」

だが、直後、ジャミル達がいる方で怒り狂った声と爆発が上がる。
切れたズオーが3人目掛け猛毒弾を発射したのである。

「やっぱりモンも戦うモンっ!!……みんなあーーっ!!」

「モンさんっ!駄目っ!此処にいる様に言われたでしょう!!」

マウリヤはジャミル達の処に行こうとしたモンの尻尾を強く引っ張り
止めようとした。だが、モンはマウリヤに向けて大口を開け、止めるのを
拒否する。

「シャアーーっ!!嫌モンっ!!モンはジャミル達を助けに行くモンっ!!
……マキナ、アイシャを守ってて欲しいモンっ!!」

「モンさんっ!!」

モンはジャミル達のいる方へと飛んで行ってしまう。……残された
マウリヤは……。

「モンさん、あんなに小さいのに……、大きな敵に立ち向かおうと
している、私にも……、出来る事がある、そう、私に出来る事……」

マウリヤは蜘蛛糸で拘束され意識がなく、ぐったりしているアイシャの
側へと近寄って行く……。

「マキナ、あなたがいなくなってしまったこの世界で、やっと見つけたの、
分かったの、……本当の友達の意味、私の大切な……」

「ちょっとっ!アンタら、しっかりしなさいよっ!……ねえったらっ!!」

「う、うう~……」

引っ込んだサンディは慌ててジャミル達に声を掛けようと飛び出して
来ていた。

「聞こえてるよ……、けど、まいったな、けど、初っぱなからこれじゃ……、
あんのバケモン最悪だわ、おい、アル、ダウド……、生きてるかよ……」

「何とか……、でも、流石にこれは毒のダメージが……痛すぎるかも……」

「大変だよお、ベホイミ掛けて……、んでもって、毒も治療しないと……、
オイラ1人でMP間に合うかなあ~……、うう、いたたた……」

「んなろう……、……!?」

ジャミルは何とか気力を振り絞り、立ち上がろうとする。すると見覚えのある
座布団がふよふよ此方に飛んで来るのが見えた。

「モンーーっ!!」

「モン……、おま、来るなって言ったろうが!!」

「嫌モンーーっ!!モンも皆と戦うんだモン!!」

「……そ、そう言えば……、アイツはっ!?」

「モンっ!?」

ジャミルはまたまた非常事態に気づく。……いつの間にかズオーが
その場から消えてしまっていたのである。ジャミルの心に嫌な予感が
込み上げて来た……。

「……さ、探さねえと、あんのクソ蜘蛛……、何処行っ……あうっ!?」

「ジャミルーーっ!!」

動こうとしたジャミルに毒のダメージが追い打ちを掛ける。回復担当の
ダウドも動けず、アイシャも離脱、……一行は最初から駄目駄目、今回は
悲惨な状況に追い込まれていた……。

「取りあえず、毒だけでも消しとかねえと……、モン、道具袋に毒消しが
あった筈だ、頼む、出して俺らに使ってくれ……」

「モンっ!!」

そして、マウリヤとアイシャ側……。

……アイシャ……

「……この声……」

意識のないアイシャに呼び掛ける声が聞こえ、朦朧としていたアイシャは
うっすらと目を開けた。其処にいたのは……。

「アイシャ、……お願い、……目を……覚まして……」

「マキナさん……」

「アイシャ……」

目の前にいたのは、マウリヤ……、まだ本当の事を知らないアイシャに
とって、マウリヤはマキナである。アイシャの瞳に涙が滲んだ。