クリスマスの齟齬
どう見ても無理矢理指を突っ込んで拡げている。
時折り潤滑剤代わりに白濁を絡めなおしてはいるが、手つきは乱暴で目を伏せているガウェインの表情も苦痛に満ちていて。
「…外してはもらえぬだろうか。我が…」
「…なんだ、待てもできないのか…?」
堪らず進言するが、途切れ途切れの呼吸をしつつ遮られる。
顔を上げたガウェインの口元は笑みを象ってはいるものの、強がりであることは火を見るより明らかだ。
見ていられずに言葉を続けようとすると、手のひらにあった残りの精をネツァワルピリの竿に塗りつけて徐にガウェインは立ち上がった。
「こんなものだろう。…動くなよ?」
まさかと思ったときには、ガウェインはネツァワルピリの腰を跨ぎにかかった。
「ま、待て、まだ入らぬ…!」
「黙って見ていろ…」
制止の声も虚しく、ガウェインは尻の位置を調整して先端を後腔にあてがう。
あんな短時間で適当に解してどうこうなるほど、尻の穴は柔軟ではない。それはガウェインとて承知しているはず。
何を焦っているのか知らないが、考えるまでもなく準備が不十分だ。
椅子を蹴倒してでも立ち上がって、強引に行為を中断させるべきだろうか。しかし彼も何か思いがあってこんな無理を通そうとしているのだろうし…
ネツァワルピリが焦燥に駆られつつ考えあぐねている中、ガウェインはぐっと腰を下ろしはじめた。
が、ぬるついて上手く先端が潜っていかない。
「っ…くそ、滑る…」
場所はあっているが、穴は窄んでしまっている。少しでも角度が違えば狙いは外れてしまうだろう。
もどかしそうにこちらの雄を手で固定し、めげずに何度も挑戦するガウェインの肩に、ネツァワルピリはこつんと額を乗せた。
「…ガウェイン殿、」
「ぐ……っうるさい、もう少し…」
「否。失礼する」
短く断り、ネツァワルピリは顔を上げた。
きょとんとして見つめてくるガウェインの胸を軽く押して、互いの身体のあいだに隙間をつくると、腕を左右に捻ってベルトをよじる。とはいえ、厚手の革製のベルトである。よじるといってもほんの僅かに隙間ができる程度で、皮膚に食い込むばかりだ。
ガウェインの表情が強張る。
何をしようとしているのか察したのだろう。
何か言われる前にネツァワルピリは深く息を吐き、そして大きく酸素を取り込むと、ひと息に腕を左右にひらいた。
「ふっ…!」
上半身の筋肉が隆起する。
ギチギチとベルトが引っ張られて、皮膚が擦り切れる。
「ぬぅぅぅぉぉおおお!!」
「お、おい、わかった外す!外すから待て!」
あわあわとガウェインが言うが、力を緩めることはない。
無数の血管が浮き上がり、筋肉に酸素と血液が大量に送り込まれて活性化していく。
締め付けられた腕や手の甲の血管や筋細胞が、激痛を伴って破壊されていく中、徐々に革に亀裂が入りめりめりと繊維が裂けはじめたかと思うと、次の瞬間にはぶちん、とベルトが千切れた。
腕を振り切るネツァワルピリの遥か後方に、破壊されたベルトが吹っ飛んでいく。
「…………」
「…ふう。さて、待たせてしまったな」
「いやいやいやいや!」
痛む手首をぶらぶらと振って、やり切ったとばかりににこりと微笑むネツァワルピリに、一時絶句していたガウェインが青い顔で激しく首を振った。
「ゴリラにも程があるだろう!なんだ今のはっ!」
「ガウェイン殿。」
手を伸ばして、相手の腰を引き寄せる。
こちらの挙動に引いているガウェインの言葉を華麗に聞き流して、真摯に謝罪した。
「我が悪かった。心より反省している」
言いながら自らの大腿部に座らせ、相手の尻たぶをがしりと両手で鷲掴みにして揉みしだくと、戸惑うようにガウェインの声が揺れる。
「えっ、おい…」
構わずにまだまだ狭い後腔に、つぷりと指先を潜り込ませた。
潤いは足りている。あとは根気強く慣らしてやるだけだ。
指の感触でそう判断し、痛みを与えないように探りながら進んでいく。
「し、仕置きだと言ったはずだ!んっ…、貴様は、俺に翻弄されて…、情けなく善がって果てれば、いい…ぁ、ん…!」
「自分で言うものでもないであろうが、十分罰は受けた。何よりツラそうなお主を前に、何もしてやれないという苦行……如何ともし難い」
「は、っあ、…ぅ」
「我は先に果てることも、乱れて醜態を晒すことも、ガウェイン殿が望むのならば喜んでしよう。それを仕置きとは思わぬ」
ネツァワルピリは己にも言い含めるように、低く言葉を紡ぐ。
指をぐっと曲げて、ざらつきのあるしこりを押し込んだ。
途端、ガウェインの腹部にぎゅっと力が入った。
「ふッ、く…!」
「寧ろ、己のそういった姿を求められていると思えばこそ、」
その彼の弱い場所を指でぐりぐりと虐めてやると、上に乗った身体が大袈裟なほど跳ねた。
「ぅああ!…ゃ、め…ッ」
「益々興奮するというものであろう?」
こちらの肩に手をかけて縋りつき、ぴくぴくと腰や足を痙攣させて嬌声を上げる男の姿に、ぞくりと支配欲が肌を走る。
指の動きを徐々に大きくし、ぐちぐちと粘性の音が出るほど胎内が広がってきた頃。
ガウェインの耳元に唇を寄せ、ネツァワルピリは囁いた。
「…挿れても、良いか?」
「ひ、ぅ……いいっ、もういい…!」
後腔をひくつかせながら何度も小刻みに頷く相手のこめかみに口付けを落とし、ネツァワルピリは指を抜く。
そして掴んだ尻を持ち上げ、自身の楔を熟れた穴に添えると、ぐっと突き込んだ。



