二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

zoku勇者 ドラクエⅨ編17 悲しきリブドール・4

INDEX|3ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

「「助けてくれえ~、此処から出してくれえ~、もう悪い事は
しないよう~、……うんこが漏れちゃうよう~……」」

「「……もうこんなのに付き合うのは嫌だよう~、とほほ~……」」

「ま、戻ったら直ぐサツに言えばいいだろ、だから早く俺らも……」

「いや、戻らないわ……」

「マキナさんっ!?本当にどうしたのよっ、ねえっ!!」

「わあ!アイシャもマキナさんも落ち着いてよお!」

「モン~……」

ズオーを倒し、漸くこれで戻って落ちつけるかと思いきや、
又問題が勃発。突如、マウリヤの我儘が又始まってしまい
そうだった。アイシャは戸惑い、困惑し、マウリヤに詰め寄る。
ダウドは又揉めだした彼女達を止めようし、モンも側で
オロオロしている……。

「ジャミル~、どうするモン……?」

「おい、アイシャ、お前も落ち着けよ!」

「……落ち着かないわよっ!!」

「……だから話そうとしてるのよ、ねえ、お願い、聞いて、
アイシャ……」

マウリヤはアイシャの肩に手を置く。そして、一瞬悲しそうな
表情を見せるが、気持ちを落ち着け話し出す。……自分の
本当の事、本当のマキナが光る果実に願って、貰った偽りの命。
そして、本物のマキナはもう何処かに消えてしまった事……。
自分は本当は人間では無いと言う事を……、等々アイシャに
告げたのであった……。

「うそ、うそ……、本物のマキナさんはもういなくて……、
あなたはお人形だなんて……」

「本当よ……」

「もういいか、マウリヤ、あんた……、この事、覚悟
してたんだな……?」

「ええ、いずれちゃんと話そうと思ったの、でも、ジャミルは
もう知っていたのね……」

「俺は見えない物が見えちまうから……、屋敷を彷徨っていた
本物のマキナの幽霊に会った、心配してた、マウリヤ、
あんたに謝りたいって……」

「マキナに……会ったのね……」

「……そう、ジャミル達はもう、マキナさんの事……」

「ああ、お前が捕まった後、屋敷でマキナから話を聞いたからな……」

「……」

先にジャミルから諸事情を聞き、知っていたアルベルトと
ダウドは俯く。モンも……。

「で、でも、あなたがマキナさんじゃなくてもいいよ!
お人形でもいいよ!えーと、あなたはマウリヤって言うのね?
じゃあ、改めて、これからも仲良くしようね、マウリヤ!
宜しくね、えへへ!」

「アイシャ……」

真実を告げても、アイシャは変わらずマウリヤと接しようとする。
何処までも優しい、そんな変わらない彼女の姿に……、又マウリヤの
胸がこれまで以上に激しく痛み出す。……自分がこれからしようと
している事、もう決めた事なのに、これから自分は一体どうすれば
いいのか……。どうせなら……、彼女に気持ち悪がられて嫌われた
方が諦めが付いた。それなのに……。

「でもっ、ジャミルっ、……マウリヤの中に女神の果実が
ある筈じゃん、アンタ、どうすんの……?」

「!!」

「黙ってろっ、サンディっ!!」

マウリヤとアイシャがいる前で一番聞かれたくない事だった。
女神の果実がマウリヤの身体から消えれば……、その時、
マウリヤの命は止まる。只の人形に戻ってしまう……。

「そう、ジャミル……、あなた達は私の中にある女神の
果実を探していたのね、なら話は早いわ、どうぞ持って
行って……」

「!!マウリヤっ、ま、待って……、駄目、そんなの駄目……、
駄目……だよう……、ねえ、ジャミル……」

アイシャの瞳が潤みだす……。こうなるから……、分かっていた事で
あった。女神の果実とマウリヤの命……、どちらかを選ばなければ
ならない決断の時。重い雰囲気の中で、やはりジャミルは自分が
天界から与えられた使命に背いてでも自分が出した決断を皆に
告げようとする。マウリヤにこのまま自由に生きて欲しいと、
その時……。

「天使様……、……マウリヤ……」

「マキナ……か?」

「マキナっ!!」

ジャミルの前に幽霊のマキナが姿を現す。……どうやら今回は
マウリヤにもマキナの姿が見えているらしく、再び逢えた友達の
姿を見て、マウリヤは心から歓喜の声を上げた。

「ジャミル、もしかして……、マキナさんが此処に
来てるんだね?」

「ああ、マキナだよ……」

「ひええーーーっ!?」

アルベルトの言葉にジャミルが頷いた。ダウドは混乱。アイシャは
どうしていいか分からずその場に硬直する……。

「マキナさん……、私には姿が見えないけれど……、本当の
マキナさんが今此処に……」

「アイシャ、大丈夫モン……?」

「……モンちゃん……」

アイシャは震える手で心配して自分の側に来たモンを引き寄せ
抱き締める。……マウリヤの命と女神の果実……。そして、
今此処に現れたと言う本物のマキナ。ジャミル達にとって
余りに重く辛い選択を一体どう受け止めて良いか分からないの
だった……。

「……マウリヤ、私の大好きな大切なお友だち……」

「マキナ、久しぶりね、今まで何処に行っていたの?私、あなたに
とってもとっても会いたかった!……あなたが突然いなくなって
しまって、私……、とってもとっても淋しかったのよ……?」

「……ああ、マウリヤ、天使様……、有り難うございました、
私の大切なお友だちを助けてくれて本当に本当に……有り難う……」

「いや……」

マキナは直後、一旦言葉を止める。だが、すぐにジャミルと
マウリヤの顔を交互に見る。そして言葉を続けた。

「……マウリヤ、本当にごめんなさい、私の無理な願いの所為で
あなたを苦しめる事になってしまった……、どう謝っていいか
分からないわ……」

「マキナ、どうして……?」

「えっ……?」

「マキナ、私、今とっても幸せなのよ?だって、ひとりぼっちだった私に、
こんなに沢山のお友だちが出来たのよ、マキナ、あなたのお陰だわ……」

「マウリヤ……、ああ、天使様……、もうマウリヤはひとりぼっちでは
ないんですね……」

「そうさ、俺ら皆マウリヤとダチになったのさ、マウリヤも本当の
友達の意味を見つけられたんだ、心からのな……」

マキナは心から喜びに満ち溢れているマウリヤの顔を見る。
……自分の願いは叶ったのだと。マウリヤに友達を沢山作って
幸せになって欲しい、それが消えゆくマキナの願いだった。
……願いを叶えられた今、マキナは……。

「天使様、本当に有り難う、……私の願いも叶った今……、
私も遠い遠い国へと旅立たなければなりません……」

「マキナ……、行ってしまうの?……本当のさよならなの?」

「私の願いは……、マウリヤ、私を幸せにしてくれたあなたが幸せに
なってくれる事だったのですもの、その願いが叶った今、もう私は
此処にはいられないの……」

「……マキナ……」

「さようなら、天使様……、マウリヤの事、どうか宜しくお願いします、
マウリヤ、さようなら……、私の大好きなお友だち……」

マキナは光と共に昇天する……。消えていく大切な友達……。
その光をじっと見つめながらマウリヤも只管考えていた事の
答えを漸くジャミル達に伝えようと決意していた。

(……マキナ、私はとても幸せ、でも、本当のあなたはもう