zoku勇者 ドラクエⅨ編18 働く4人組・1
「お任せあれー!」
「よーしっ、じゃあ私とモンちゃんでお掃除をさせて貰うね!まずは
ロビーからだね!」
「モンーっ!」
「じゃあ、アイシャ、私と一緒にやろう!女の子同士、ね!?」
「うんっ!」
アイシャはリッカと一緒に宿屋の掃除担当。それぞれの主な本日の仕事の
役割も決まり、ジャミル達4人組はこの宿にて暫くの間、滞在が決まった。
ボランティアフリーだが、金を貰う目的で来たのではないのだから。
疲れているリッカの手助けが少しでも出来れば、いられる間に少しでも
仕事の合間に色々話を聞いてやり、カウンセラーや癒やしになればと、
そう思っていた。
「リッカ……」
「あっ、ロクサーヌさん……、ご、ごめんなさい……、私……」
ロクサーヌは何となく、少し縮こまってしまったリッカを見つめる。
だが彼女はリッカの肩に優しく手を置いた。
「あなたが決めた事なんですもの、とことん何でもやってみなさい、
私は何も言わないわ、あなたのお友だちですもの、彼らを私も信じるわ……」
「……ロクサーヌさん、有り難うございます!」
ロクサーヌは笑って手を振りながら自分の仕事担当位置に戻って行った。
此処の宿に残ってくれた従業員達は、ほぼリッカの事を信頼して
くれているから残ったのである。だが、怒って出て行ってしまった
レナや、他の従業員達と何とか話をしたいと思ったが……。
「……レナさん達にも分かって欲しいな、ジャミル達は皆、本当に
頼れる仲間なんだって事……」
そして、宿屋を飛び出して行ったレナはと言うと。……真っ昼間から
酒場でヤケ酒を飲んだくれていた。
「……別に……、あの子らが仕事が出来ようが出来まいが関係ないのよ、
大体私は最初からリッカが気に入らなかっただけよ……、そう、ルイーダが
いきなり宿にあの子を連れて来た時から……、苛々したわ、何なのよと
思ったわよ……、宿王の娘だろうが何だろうが……」
そう言いながら、レナは更に強い酒をガブ飲みしようとするが、
マスターに止められる。
「姉さん、気持ちは分かりますが……、もうお仕事に戻られた方が
いいんじゃないですか?頭も痛いんでしょ?……きっと皆さん
心配してると思いますが……」
「……ほっといて……、もう動けなくなるまで飲んでやるわ……、
誰も心配なんかしないわよと……、どうせ皆リッカの事が
大事なんでしょ、そうよ、リッカだけいりゃいいのよ……」
(……あの子が来てから……、ほぼ注目度はあの子の方、客も皆
リッカを褒めていくわ、凄い子だって……、雑誌の取材にも
記者が来たわ、でも、話を聞いて書いて行くのは全部リッカの
事ばかりよ、……私達、陰で支える裏方の従業員の事なんか
どうでもいいのよ……)
「……」
レナはテーブルに突っ伏し、ガラスコップに映る自分の情けない顔を
見つめる。酒に溺れ、まだ十代半場の若い小娘に嫉妬する醜い
自分のやつれた姿に……。
「……これから先、あの宿屋はあの子に乗っ取られていくのね……、
ふふ……、汚らわしい……」
そして、時刻は夜21時を回り、宿でも住み込みの従業員達以外は
家に帰ったり、休み始めていたが、まだレナが宿屋に戻って来る
気配は無かった……。
「お疲れさまー、ジャミル達も今日は本当に有り難う!後は私がやるから、
皆はお部屋で休んでね、どう?結構大変だったでしょ?」
リッカは笑顔で4人に笑い掛ける。物置か倉庫でいいと言ったのだが、
部屋は幾らでもあいているからどうぞ使ってと、4人に休める部屋を
提供してくれたのだった。
「いやいや、まーだまだ、何かあればいつでも動けるぜ?言ってくれよ!」
(……んとに、バカジャミ公、女のコの前だと異様に張り切るん
だから……、やっぱり男ってどいつもこいつも基本、こうなん
だよネ……)
「うるっせー!ガングロっ!!」
「えと、どうかした?……ガングロ?」
「い、いや、何でもねえって!ははは、あーははは!!」
サンディの言葉に切れ、そしてリッカに必死で誤魔化すジャミル。
ダウドは何となく、アイシャの方をちらっと見たが……。
「……」
(うわ、見てる、……やっぱしっかり見てるっ!!)
アイシャはロビーテーブルの椅子に座りながら、疲れて眠ってしまった
モンの腹を撫でていたが。……顔は笑顔である。……だが、目線は
しっかり……、ジャミルの股間をじっと見ていた……。腹は不機嫌なのが
直ぐにダウドには分かるのであった。
「ジャミル、お言葉に甘えさせて貰って、僕らはもう休ませて貰おう、
明日も沢山仕事があるからね、リッカはリッカの仕事がまだあるんだから、
邪魔しては駄目だよ……」
「有り難うアルベルト、そういう事、あはは、さ、皆は身体を休めてね、
さあさあ!本日も本当にお疲れ様でしたー!」
「そうか?じゃあ、俺ら部屋に行くけど、もし何かあったら遠慮せず
言ってくれよ!」
「うん、ありがと、ジャミル……」
「お休み、リッカ……、又明日ね、頑張ろうね!」
「モンモン~……」
アイシャもモンを連れて提供して貰った部屋に移動する。その場には
リッカとカマエルのみになる。ロクサーヌも本日の仕事を終え、部屋で
休んでいる。後は、リッカには姿が見えないが、宿屋に居座っている
ラヴィエルのみ。……リッカはレナが戻って来ない為、彼女が担当する
金庫番や会計の仕事をその分しておかなければならかなった。仕事を
する事事態は全然苦痛ではない。だが。
(……このままじゃ駄目、私……、レナさんとちゃんと一緒に
お仕事がしたい、……でも、どうしたら仲良くなれるんだろう……、
ねえ、父さんもこんな事あった?従業員の人と仲良く出来ない、
迷った事、色々上手くいかない事ってあったのかな……)
リッカは夜空に浮かぶ月を見ながら、今は遠い父の事を思い出していた。
今はもう記憶の中にしか存在しない父。……今、もう一度逢えたなら、
温かいお茶を一緒に飲みながら話をしたかった……。
翌日。本格的に4人の宿での数日間の手伝いがスタートする。最初は
張り切っていた4人だが、本日の宿に訪れる客数を確認し、絶句……。
昨日の客の数とは比べ物にならない程の倍の人数予約が入っていた……。
もはやリッカの宿屋は知る人ぞ知る、超有名人気宿屋なのだから。
「……ご、50人て……、マジ?」
「うん、でも、うちはこれでも平日は普通の方なんだけど……、やっぱり
ジャミル達は初めてだもんね、大変かなあ……」
「ぐうぐう、ねむいよお~……」
「モンモン……」
ジャミル達は5時に起きなければならなかったが、リッカはとっくに
もっと早くに起きて仕事をしている。立ったまま寝ているダウドを見て
アイシャは呆れた。昨日、レナを始めとする従業員達も何人かストを起こし、
まだ戻って来ない。原因の大半は自分達の所為なのであるが。張り切って
引き受けた物の、接待やらその他、普段からあまりこう言った事に慣れてない
ジャミルは段々不安になって来る……。すると、頭に非常に嫌味なレナの顔と
台詞が浮かんで来た。
「……何よ、やっぱり無理なんじゃないの!もうあんた達帰っていいわよ!
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編18 働く4人組・1 作家名:流れ者



