zoku勇者 ドラクエⅨ編19 働く4人組・2
「……皆さん、本当に有り難う……、私、直ぐに渡して来ます!」
リッカは袋を抱き締め休憩室を飛び出して行った。その姿に皆も
微笑んで見守る。
「全くもう、ヤキモキさせるんだから……」
「ホントにね、レナ、あなたもね……」
「……ルイーダっ!だからアンタはどうして人の神経を逆なでする
様な言い方するのよっ!!」
「さあ~?お互い様じゃないかしら~?」
そして、リッカは急いで4人のいる厨房へと。やっとちゃんと皆と
お喋り出来る。例え僅かな時間でも……、とにかく色々話したい、
皆の冒険の話を沢山聞きたい、……しかし……。
「ど、どうしたのっ!?大丈夫っ!?」
「あ、リッカさん、お坊ちゃんがどうも……、食い過ぎて動けなく
なっちまったみたいで……、あっしの料理がうめえうめえ言ってくれて、
沢山食べてくれたのは嬉しかったんですが……」
リッカが中に入ると、椅子に座ったまま腹を押さえて呻いている
ジャミルの姿……。側には呆れて見ている……、見守っている
アルベルト、アイシャ、ダウド、そして、ダウドの頭に乗って
遊んでいるモンの姿が……。アルベルトの話によると、沢山
お代わりして下さいねとコックに言われ、遠慮せず食い捲った結果、
こうなったんだとか……。今日は大食いのモンよりも凄い姿になっていた。
「……オイラ情けないです、友人として……、いつもの通りです、
……とほほのほお~……」
「いつもいつも言ってるでしょ!限度を弁えないからこうなるのよっ!!」
(ホントコイツバカ……、ぷぷ、か、観察観察……!)
「ぐるじい~……、う~……、て、テメーらうっせえ……、う、げふ……」
アルベルトは横目でジャミ公の丸い膨れた腹を見て、スリッパで一発
叩いたら腹もへこむのではないかと思い……。
「……やめろっつーんだよっ!!腹黒っ!!」
「ちっ……」
「凄いお腹だね、ジャミル……、ちょっと触っていい?」
「お腹、ポコポコモーンモン!」
「おーいっ、何だよリッカっ!オメーまでっ!む、む、む……、
げふ、むっぷ!!」
ジャミ公は普段が小柄な体格の為、膨れた腹が目立って余計に
みっともない姿と化していた。
「やっぱり……、ダーマで又転職し方がいいんじゃないかなあ……、
お相撲さん……あいてっ!!」
ジャミルは伸ばせるだけ足を伸ばし、横にいたダウドに蹴りを入れるのだった。
(……う~ん、皆と沢山お喋り出来ると思ったんだけど、これじゃあ……)
リッカは溜息をつく。厨房はもうアホ丸出し、大騒ぎである。
「あのね、これ……、皆の気持ちなの、どうか受け取って下さい……」
リッカはアルベルトに代表で小袋を渡す。アイシャもダウドも
びっくり。目を丸くする。ちゃんと喋れない状態のジャミ公は
腹を丸くし、唸ったまま……。いや、僕らは本当に……、そんな
つもりで手伝いをしたんじゃないんだからと遠慮するが。それでも
リッカは、皆の気持ちを代表し、言葉を伝えるのだった。
「ううん、私、本当に皆には感謝してるの、皆が来てくれなかったら……、
私、オドオドしたままで、レナさんともちゃんと向き会えなかったかも
知れない、又頑張ろうって思えたのも皆のお陰だよ、手伝ってくれて
レナさん達も有り難うって、だからこれはレナさん達、従業員さん達の
感謝の印なの、皆に久しぶりに会えて良かった、本当に有り難う……」
「リッカ……、僕達の方こそ……、有り難う……、感謝するよ……」
「私達皆で大切に使わせて貰うね……、本当に有り難う……」
「えうう~、オイラももっと精進しなくちゃ……、皆に申し訳
ないよお~……」
「ジャミル……、色々有り難う……」
「リッカ……、お、おま……、!?」
リッカは最後にジャミルに近づく。そして悪戯っぽい笑みを浮かべる。
「ジャミル、明日までにその膨らんだお腹、引っ込めなくちゃね、
……じゃないと、もうジャミルにはお持て成ししてあげませんよーだ!」
「ちょ、おま……、何か意地悪くなって来てねえ?……あのレナオバアに
影響され……、う、う、げっふう!」
「あははははっ!」
リッカの気持ち、レナを始めとする従業員達、皆の気持ちに甘えさせて貰い、
アルベルトが代表で小袋を受け取る。厨房にいたコック、職人さん達からも
拍手が巻き起こるのだった。リッカは本当はもっと皆と沢山話をしたかった。
しかし、ジャミ公がああなってしまった以上、今回は我慢するしかなかった。
冒険の話は又今度会えた時まで我慢しよう。だから、私、もっともっと、
この宿屋の宿主として、又皆をお持て成し出来る様、沢山頑張るから……。
だから……、又会おうね、約束だよと……。そして、リッカと
セントシュタインに再びの別れを告げ、4人の新大陸への又新しい
冒険が始まる。ついでに、ジャミルは出発前に、カマエルにお寄りの
際には錬金をお忘れ無くと散々カマエルに念を押されたのであった。
リッカの成長も無事に見届けた4人は安心して再び大海原へと戻る。
又会える日を楽しみに、これから向かう新大陸への冒険に胸を
弾ませていた。のんびりと航海を楽しみながら。……だが海上では
モンスターも出るので、年中のんびりと言う訳にはいかないのだが。
「ねえ、ジャミル、ニードはどうしてるのかなあ?」
「ん?そうだな、すっかり忘れてたな、あいつもウォルロで宿屋を
経営してるんだったっけ……」
モンにそう言われてジャミルはやっと思い出した。リッカの事は
心配なかったが、此方はちゃんと元気でやっているのだろうか、
気になってきていた。
「だあれ?ニード?」
「ああ、最初に地上でリッカと一緒にダチになったのさ、
ツッパリ野郎で変な奴だったけどな、どうしてるかなと
思ってさ……、リッカがセントシュタインへ移住した後、
村でリッカの宿を引き継いだんだ」
「そっか、それじゃ気になるわよね、又落ち着いたらその子にも
会いに行くといいわよ!」
「そうだな、会えるといいな……」
「モンっ!ニードの頭、どれぐらい長くなってるのかな?楽しみモン!」
「……あいつの先端の髪の事か?伸びてねえっての、たく……」
「もう、モンちゃんたら……、ふふっ」
アイシャの言葉にジャミルは笑顔を見せた。この世界で知り合った
沢山の友達。これから先、訪れるあろう場所で又新たな沢山の友と
出会える事を信じて……。
「わっかンないわよー、もしかしたらもう宿屋経営破産してたりして……」
「……おいおい……」
サンディの毒舌にジャミルは顔をしかめるが、経営者がニードと言うだけ
あって、あり得ない事ではなかった……。しかも、リッカと違い、
此方は質が悪い。……ジャミルは段々心配になってくるのだった……。
「ま、まあ、取りあえずは大丈夫だろと思う事にして……、アルーっ、
休憩しようや!」
ジャミルはずっと舵を取ってくれているアルベルトに休憩を持ち掛ける。
船を岸に止めて船室でおやつ休憩タイムへと突入する。これから向かう
新大陸への進路先も決めなければならない為。4人は休憩室にて、
セントシュタインを出発する前に、宿屋の従業員達がお土産に
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編19 働く4人組・2 作家名:流れ者



