zoku勇者 ドラクエⅨ編21 我侭女王と恋したトカゲ・2
「さあ、お前達、今から私の入浴の準備をして頂戴、この果実を急いで
全部スライスして!うす~くスライスした果実を湯船に散りばめて
特製の黄金風呂を作るのよ!」
「はぁぁ~いっ!」
「……だ、そうだ、さあ女王様達の邪魔をするでない!さっさと
向こうへ行けっ!」
「こ、こんにゃろう……、何とかしてっ!時間がねえんだよっ!」
「ジャミル、正面からとてもじゃないけど入れそうにないよ、
何処かに沐浴場へ続いている別の入り口でもあれば……」
「……そんなご都合主義、ある訳ないよお~!!」
「……アンタらなんかいい方法考えなさいよっ!!」
「困ったわ、どうしたらいいのかしら……」
「モン~?」
モンは何かに気づいたらしく、其方の方へふよふよ飛んで行く。
慌てて後を追うと、城内の池の側に佇む一人の老婆が……。
「おばあちゃん、こんにちは、モン!」
「おや、可愛いお人形さんだねえ~……、はあ……」
老婆は走って来た4人の顔を見て溜息をつく。そして一言、
言葉を漏らした。
「……女王様が沐浴場をお作りになった所為で、大きな地下水路が一つ、
潰れてしもうた……、あの方も考えを改めてくれんと、この国は深刻な
水不足に悩む事になるじゃろうのう……」
「婆さん……」
老婆は池を見ては息を漏らしている。ジャミルは、この池から沐浴場に
続いてないモンかと思考してみたが……。
「婆さん、俺ら凄く困ってんだよ、女王に話があるんだけど、沐浴場に
行っちまって取り繕ってくれないのさ、……沐浴場に繋がる……、秘密の
通路とか……、知らないよな……?」
暫く池だけを見つめていた老婆は最初驚いた様な顔をしていたが、
やっとジャミルの方を見る。
「わしは詳しい事は分からんが……、この城の屋上に古い水路があっての、
其処から沐浴場へ続いているとか、いないとか……、この頃、城に来ては
勝手に釣りをしている変な男がおる、何でも幼少の頃からこの城に
良く訪れていたそうじゃ、何か知っておるかも知れんのう……」
「!マ、マジでかっ、よしっ、此処でオロオロしてても拉致があかねえ、
行ってみるぞっ!」
ジャミルの言葉に皆頷き一行は再び階段をドタドタ駆け上がり、
屋上へと……。屋上へと辿り着くと、いた。確かに男が一人。
水路で釣りをしていた……。
「おーい、おっさあ~ん!」
「む?誰だい?私の釣りの邪魔をするのは……、この水路に幻の
怪魚が出たと聞き、此処に通い、獲物を狙っているんだよ……、
邪魔をしないでくれよ……」
「俺ら魚なんかどうでもいいんだよ、邪魔する気もねえよ、
ただ一つ聞きたい事があるんだ、この水路から……、沐浴場へ
行けるかもって話、聞いたんだけど……」
……男は釣りの手を一旦止め、ジャミル達の方を見る。
そして首を傾げた……。
「確かに……、おじさんは子供の頃から良くこの城に遊びに
来ていて、色んな秘密を知っている謎のおじさんさ、此処を流れる水は
沐浴場に流れ落ちているんだ、即ち此処に飛び込めばおのずと自然に
沐浴場まで流れ着く訳、だが、そんな事をすれば、君達、大怪我を
してしまうよ!?」
「そうかっ!よしっ、皆……、飛び込むぞっ!」
「ええーーっ!?」
男は再度びっくり。急いで4人を止めようとするが、時間がないと
言い、言う事を聞かない。男に話し掛けて来た少年は、自分は滝壺に
落ちても平気だった石頭だと。だが一人だけ、泣きそうな顔をしている
困った顔の少年がおり、男はこの子は嫌なんだろうなあと何だか
気の毒になった。
「ダウドっ!観念せえーいっ!時間がないっつーのっ!」
「……いーやーだああーっ!!」
「私は平気よっ、モンちゃん、私にしっかり掴まってるのよ!」
「モンーっ!」
……アイシャはぎゅっとモンを両腕に抱え、抱き締める。女の子の
アイシャでさえ、水路に飛び込むのに戸惑っていない。ダウドはもう
人生嫌になった。そうしている内、遂にジャミ公、トップバッターで
水路にドボンと飛び込んだ……。
「ほ、本当にっ!……何と言う無謀なアホ……、いや、勇気の
持ち主の少年なんだ……」
「ダウドっ、……ごめんよっ!さあ、アイシャ、僕らも後に!」
「ええ、行きましょっ!えーいっ!」
「きゃーモン!」
アルベルト、ダウドの背中を押し、水路へと突き落とす。その後、
自分も水路にダイブ。最後にモンを抱いたアイシャが飛び込んだ……。
「君達のアホな勇気に……、おじさんは感動したよ、ああ、どうか
無事でいておくれ……」
して、水路に飛び込んだ命知らず4人組とモンは水の中を凄いスピードで
何処までも流されて行った。時に、くるくる回転しながら……、只管に……。
きっと、洗濯機の中の洗濯物の気分はこんな感じなんだろうなあと、
ジャミルは流されながらそう思った……。
「……ぼー!ぼぼれひゃうごぼょおーーっ!(※訳・もー!おぼれちゃう
よおーーっ!)」
「ぎょぼごぼぉ~ん……(※訳・モォ~ン……)」
(……やべ、マジで俺も……、く、苦しくなってきた……)
後ろの方で、ダウドとモンのガボガボな声が聞こえた。
……ふざけて風呂で4分近く潜水した事のあるジャミ公で
さえ、そろそろ息が続かなくなって来た頃……、漸く光が
うっすらと見え始めた。恐らく沐浴場へと続く水路の出口で
あろう。一刻も早く空気を吸える事を願いながら、4人はそのまま
光の方へ流されていった……。
「あら?何だか……、水の流れが悪い様な……、何か詰まっている様な……」
……うわああーーーっ!!
「キャーーー!!」
「な、何なのーーっ!!」
女王も侍女達も騒然。沐浴場、天井付近から流れて来る水の中から
変な4人組と+モンが一緒に流れて来たからである。漸くゴール地点に
たどり着けたジャミル達であったが、もうヘトヘト、全身びしょ濡れ。
「助かったああ~、ふう~……」
「冗談じゃないよっ!オイラのオールバック崩れちゃったじゃないかあーーっ!!」
「何なのなんなのーーっ!!」
「また……、あなた達なのね……」
侍女達がパニックになる横で、女王は出現した4人組に呆れ、
大きな吐息を。だが、ジャミルはその場で大きく深呼吸を繰り返し、
ダウドはプリプリ怒りながら崩れたヘアスタイルを直しに掛かる。
突然乙女達の神聖な場に乱入、侵入したにも係わらず、恐れ多き
者共である……。
「あっ、女王様、皆さん、どうもすみません、突然お邪魔して
しまいまして……」
だが、礼儀正しいアルベルトだけはきちんと一応謝罪を入れた。
「アイシャ、モンのカイカイ治ったモン!お水でシラミさんも
ノミさんもみんな、一緒に流されて行っちゃったんだモン!」
「うん、良かったね、モンちゃん!でも、ちょっとスリルがあったけど、
中々面白かったね!」
「モンモンーっ!」
「……あなた達……」
「あ……」
女王は腰に片手を当て仁王立ち。鋭い目つきで4人組の方を睨んだ。
「無断侵入してくるなんて、あなた達、相当しつこいわね、大方、
果実を取り返しに来たんでしょうけど、もう遅いわよ、これを
見なさい……」
「……っ!!」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編21 我侭女王と恋したトカゲ・2 作家名:流れ者



