zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1
「あんたなにもんだべ?……魔物がいなくなるまでみんなで此処で
隠れてるだよ……、アバキ草があればモンスターは此処には
近づけんでのう……」
「みんなでかくれんぼしてるモンーっ!モンもやりたいモンーっ!」
(……デブ座布団のアホっ!)
「……モン、頼むから静かにしてろや、じゃないと……、
SPデコピンの刑+夕飯抜きとキャンディー一週間没収の刑!」
「キシャシャーーっ!」
モンは慌てて又ダウドの頭部の上に乗る。デコピンの刑も嫌だが、
何より大好きなキャンディーを一週間も食べちゃ駄目になるのは
モンにとって最高の罰。
「おとうちゃんが此処に隠れてろっていっただ、魔物、おらが
やっつけるからって、でも、まだ戻ってこねえだよ……、しくしく、
おとうちゃん……」
「オラ達はもしかしてもう、死んじまってるんだべか……、
分かんねえだよ……、んでも此処はオラ達の大事な故郷だあ、
離れる訳にはいかねえだよ……」
ジャミルは実際には何もない空間を仕切りに見つめている。
アルベルト達には見えていないので、又何が起きているのか
不安になった。
「そうそう、昔なあ、この村からヨソに嫁に嫁いだ娘ッ子がいたなあ、
確か名前をパルちゃんと言ったなあ、他の子よりは身体が弱かったが、
偉く可愛い子だったのう、今も元気でいるだべか……」
「ん……?パル?……パルちゃん!?ばあさん、本当にこの村に
その名前の子がいたのか!?」
「んだ……」
婆さんはジャミルの言葉に頷く。アルベルト達には見えない空間に
向かってジャミルが大声を出した為、びっくりする。ナムジンの母親、
パルはこの村の出身で、カルバドへ嫁ぎ長ラボルチュの嫁となった。
そして息子のナムジンを身籠もったのである。……その後……。
「そうか、嫁さんに行って此処から離れたから災いを免れたのか、でも……」
結局、身体が弱かったパルは、余り寿命が残されておらず、ナムジンを
産んだ後、数年で亡くなる運命となったのだった……。
「おい、兄ちゃん、何ブツクサ言ってるだ?この先の地下の泉にはな、
アバキ草ちゅー、ありがたい草が生えてるだ、魔物がその草の汁を
浴びると忽ち化けの皮が剥がれるちゅー噂があるだよ……」
「おばさんっ、それマジか!?アバキ草はこの先にあんのか!?」
「ああ、んだんだ」
「!」
まるで独り言を言っているかの様に見えるジャミルだが、ジャミルの
言葉を仲間達はちゃんと聞き逃さなかった。
「よしっ、お前ら分かったぜ!アバキ草はこの先の地下だ、行こうぜっ!
おばさん達、村のみんな、有り難うな!」
「モンモンですー!」
ジャミルは集まっている村人の幽霊達にお礼を言い、モンも頭を下げた。
そして、地下の泉へと走って行く4人を村人の幽霊達は静かに見送る。
「坊や達の目的は分からんが、気を付けるんだで……」
「どうか無事でなあ……、頑張れよ……」
「んだんだあ~……」
そして、通路の先の地下へと降りた4人。其処は上の廃墟とは
偉くまるで違った場所で、新鮮な空気が漂う、不思議な泉が
広がる場所だった……。
「此処の泉の何処かにアバキ草があるんだね……」
「はあ~っ、たまには外に出ないとッ!もう、ジャミ公、
オナラばっかするんだからっ!嫌になっちゃうッ!」
「……ガングロっ!うるさいっ!!」
「……嫌だなあ~……」
「ちょっとダウド、何でそんなに嫌そうな顔してるのよっ、もう幽霊さん
なんかいないわよ!」
「いや、あのね……、だからね……」
アイシャは腰に手を当て、ま~だ何だか、うじうじしている
ダウドに迫る。
「大体分かるよ、どうせ又……、ドラクエ3時代に泉にボッチャン、
墜落したのを思い出し……」
「ンッ、なになに~!ヘタレ、何かやったの~ッ!そう言えば、前にも
アンタらそんなよーな事言ってなかったッ!?どれだけ秘密あんのっ、
スゲー気になるんですケドっ!?」
「モンーっ!?」
「あ、あはは~、……な、何でもないから~っ!……何でもないよお~っ!!」
「……むぐぐぐぐ……」
ダウドは慌てて恥ずかしい前作での過去を又バラしてくれそうになる
しつこいジャミ公の口を必死で塞ぐのだった……。
「あ、あの草じゃないかな……」
アルベルトの言葉に皆が一斉に正面を見る。岸の側に他に生えている
草とは明らかに違う一際不思議な輝きを放っている草が生えている。
村人達が教えてくれた通り、この草がアバキ草に間違いは無い。遂に
見つけたのだった。
「よしっ、後はこれをナムジンに渡せばいいだけか、お前ら
急いで戻るぞっ!」
「わ~いっ、ナムジンさん、待っててねえーっ!」
「……チッ」
「……プッ……」
「アル、笑っちゃ駄目よ、ジャミルが益々嫉妬しちゃうじゃないの!」
「あ、そうか、ごめん……、僕、気が利かなくて……、あはは……」
「……だーからああっ!俺は嫉妬なんかしてねえーっつーのっ!!」
「思いっきりしてるじゃん……、アンタバカ?」
「してるモン……」
「……ガングロっ!モンもうーるーせええーーっ!!」
……一番やかましいのはジャミ公、お前だろう。かくしてアバキ草を
無事入手した一行は今度はそのアバキ草をナムジン本人に渡す為、
ナムジンが滞在している狩人のパオの方へと戻るのだった。
その頃、狩人のパオ、ナムジンのパオにて……。
「……二人で会う時はボクの方からお前に会いに行くと言っただろ?
もう二度と此処へは来るなよ……」
「グギギ……」
ナムジンが滞在するパオ内には、ナムジンと、相棒のポギーが。
一体、外の兵達に見つからずどうやって中に入れたのかは謎であるが、
それでもナムジンは愛おしそうに、自分に身体を寄せすり寄ってくる
ポギーの頭を優しく撫でた。その時、パオの外から……。
「はあはあ、お、おっさん達……、ま、まだ……、ナムジンは
中にいるかい……!?」
「あれは……、ジャミルさんの声……?」
「おお、兄ちゃん達でねえか、どうしたい、んなに息切らしてよお……」
「若様を探しに行ってくれたんだったでな、大丈夫だあ、若様は
ちゃんともう戻って来てパオの中にいるでよ……」
どうやら間に合ったらしく、まだナムジンが此処に滞在して
くれている事を知り、4人組は急いでパオの中へと突入した……。
「……いたっ!ナムジンっ!!」
「ジャミルさん達ではないですか、脅かさないで下さいよ……、と、
此処にいますので……、すみません、もう少し静かにお願いします……」
「グギ~……」
ナムジンはパオの隅で丸まっているポギーを指差す。ジャミルは
すぐ理解し、小声で、……分かった……、と小さくナムジンに
向かって呟いた。
「おや?あなたがその手に持っているのは、確か……」
「ああ、アバキ草さ……」
「ア、アバキ草ですって……!?」
ジャミルは自分達がカズチャ村へと訪れた事、……ナムジンの
母親の幽霊からナムジンを助けて欲しいと伝えられた事、
ナムジンへと話した。だが、ナムジンはジャミルが幽霊の
姿が見え、直に話が出来る事に驚きを隠せず、最初は戸惑いの
目を向けていたが……。
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編23 ヘタレとヘタレ若様・1 作家名:流れ者



