zoku勇者 ドラクエⅨ編25 タワシ頭の店主奮戦記・1
「こんな布団、捨てちまえっと!よし、部屋には殺虫剤まいてと、よしよし!」
……掃除の仕方も適当、無茶苦茶であった。有ろう事か、ニードは
汚い布団はこっそりと裏口から運んで処分してしまい、倉庫から
新しい布団を引っ張り出して来たのである……。勿論、適当に
掃除のした客室はアイシャに泊まって貰おうと目論んでいた
部屋だけだった。
「……そっか、やっぱり此処の宿屋……、大変な事になってたんだな……」
「ジャミル、すまんのう、本当はもっと明るい話をしたかったのじゃが……、
どうものう、最近はニードの奴も益々サボリ癖が酷くなっている様でのう……、
儂が注意すればする程、奴は余計反発するんじゃ……」
リッカの祖父は悲しそうに俯いたまま言葉を漏らす……。その姿を
アルベルトも、ダウドもアイシャも……、無言でじっと見つめていた。
モンは今、サンディと外に遊びに出ている。そして、リッカの祖父は
ある雑誌を4人に見せた。
「これを儂はいつも持ち歩いているんじゃよ、これが現実なんじゃとの、
じゃが、見れば見る程悲しくなるでの……」
「ど、どら、……うわ!」
「な、何これえ~、世界最悪、最狂・宿屋ワーストランキング、此処、
もうすぐベスト上位入りしそうじゃん……」
「本当だわ、お持て成し最悪……、店主の態度最悪……、宿の汚さ・
不衛生、何処をとってもはっきり言って行かない方がいいです、
いい処のない宿屋……、夕飯は激安カップラーメン、SPデザートに
みかんの皮付き、大事な事です、二度言います、はっきり言って
行かない方がいいです……、おならの臭いも充満……、
……何なのよう~っ!」
「……僕、記事見ているだけで凄く頭痛が……」
4人組はリッカの祖父が見せてくれた宿雑誌記事を読み絶句……。
幾ら何でも此処まで酷いとは思ってもいなかったのだが……。
「……それでものう、夕べ、こんな評判の悪い最悪の宿屋でも、
わざわざ遠くから足を運んで下さった、有り難いお客様が
おったんじゃ、……ニードはそのお客様の心を踏み躙ったのじゃ、
わしゃ、悲しゅうて悲しゅうて、もう呆れて言葉が出んのじゃ……」
「……爺さん……」
リッカの祖父は等々押し黙ってしまい、それ以上何も言えなくなった。
リッカも村を出て行く時、心からニードの事を信頼し、宿の経営を全て
託して村を去った。リッカの祖父も今度こそ真面目に働くと言うニードを
信じ、大切な店を任せたのに。……それなのに。これは完全なニードの
裏切り行為である……。
「よしっ、分かった……、きっと俺らが此処に導かれたのもこの為だ、
爺さん、安心してくれよ……」
「何と?……ジャミル、お主……」
ジャミルは椅子から立ち上がり、仲間達に目配せ。皆静かに頷く。
「俺らもこの宿屋を守る!大事なダチの宿屋だっ!今からでも遅くねえよ、
経営から立て直すのさ、リッカと親父さんが大切に守って来た宿屋をさ!」
「し、しかし……、これ以上迷惑を掛けられんよ……、お主達にまで……、
それにのう、この宿屋が駄目になっておる根本的な問題は……」
「ニードの事だろ?心配要らねえよ、それも俺らに任せとけ!畜生、
あの野郎、徹底的にイチから根性叩き直してやる、見てろ……」
「そうよっ、幾ら何でも此処まで酷い事書かれて黙ってられないわ!
名誉挽回よ!私達もお手伝いしますっ!」
「でもさあ~、これ、はっきり言って、事実だからそうありのままに
書かれるんじゃないの……?」
「ダウド、だからこそ、僕らでこの記事をひっくり返すんだ、最高の
お持て成しが出来る素晴らしい宿屋に生まれ変わらせてみせます、
お爺さん……、必ず……」
「おお、おお~、皆の衆……、な、何と言う事じゃ……、これも
守護天使様のお導きかのう~、ううう~、守護天使様、有り難や……」
ジャミルは此処は大丈夫だからと、腰を悪くしているリッカの祖父を
休ませるべく、ダウドが付き添い、一旦実家の方へ帰らせた。余り
心臓の方もここ最近は調子が良くない様である。……そして、守護天使……、
久々のその言葉を聞き、アルベルトがジャミルの方を見た……。
「何だよっ!」
「い、いや、忘れてたよ、この話じゃ、君は天使の設定なんだったね……、
プッ」
「た、たくっ、腹黒めっ!うう~っ、……節介部隊出陣ーーっ!!準備じゃ!
準備じゃ!」
「なになに~、また何かおもろいコトあった!?」
「お腹すいたモンー!」
其処に外に遊びに行っていたモンとサンディも帰宅。ジャミルは2人にも
又暫くの間此処に滞在する事を話した。
「ふ~ん、ボンクズの更生再生ね、ま、いいんじゃネ?しかし、アンタらも
お節介よね~!」
サンディはそう言いながらジャミルの中に消える。モンも張り切って
ニードを鍛えるモン!……との事。ちなみに、外に出ている間に、
モンを見つけた村人にジャミル達は宿屋にいるモン!と教えている。
「おじやも後で宿屋に来るって言ってたんだモン!」
「……お、おじや……???」
「ニードの親父さんの事だよ、村で村長をしてんだよ」
「あ、ああ、成程……」
アルベルトはやっと理解、納得するが、いつも通り、流れて来た汗を
ハンカチで拭いた。
「おまた~!アイシャちゃ~ん♡お泊まりの準備出来ましたよーーっ!」
其処に猛スピードでニード再登場。しかし、この宿屋の現状と事実を
知ったアイシャはちゃんと強く言わなければとニードに迫った。
「ニード、私にそんなに気を遣わなくていいのよ!皆と同じ部屋に
泊まらせて頂くわ、それよりも……、はいっ!」
「へ?え、え~と、これ、ホウキ……?」
「そう、今から私達と一緒にまずは宿屋のお掃除しましょ!」
「……うえええーーーっ!?」
アイシャはニコニコしながらニードにホウキを渡す。……流石、
強い……。
「なななな!何でなんだよっ!オイ、ジャミ公!テメー、
どう言う事か説明しろコラ!冗談じゃねえぞっ!」
「そう言われてもなあ~……」
「僕ら、お爺さんからこの宿屋の今の近況を聞いたんだ、
……君の事もね、お爺さん、リッカ達がずっと守って来た
この宿屋の事をとても心配しているんだ、勿論、君の
将来の事もさ、ね、ニード……、……うふ、うふ、うふふふ~♡」
「おーいっ、おかしいだろ、お前の連れっ!何でスリッパ持って
ドス黒い笑み浮かべてんだよっ!怖えーなっ!!」
「ま、そう言うことだよ、分かったか?」
「……分かんねえよーーっ!!」
だが、ジャミ公は動じず。自らもホウキを持つとニードに凄い
剣幕で近寄って行った。
「うるっせーーっ!ごちゃごちゃ言うんじゃねえーーっ!!とにかく
俺らはこの宿屋の再生と、タワシっ!オメーの店主修行の為だっ!!
……現場監督として暫く此処に世話になる事にしたからよ、いいな……?
勿論俺らも出来る仕事はさせて貰うからよ!!」
「……聞いてないようーーっ!!ち、畜生うううーーっ!!」
「うふふ、ニード、一緒に頑張ろうね!」
「……お、オウ、勿論だぜいっ!アイシャっ!!ははははっ!!」
アイシャの微笑みに又もニードはデレッとする。アイシャのお陰で
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編25 タワシ頭の店主奮戦記・1 作家名:流れ者



