zoku勇者 ドラクエⅨ編25 タワシ頭の店主奮戦記・1
まではやるからね、うふふ、うふふ、うふふふ~……♡」
そして翌日。遂に喜ぶべき事が起こる。午後、この宿に再び客が
訪れたのである。しかも……。
「こんにちは……、私は修行の旅で彼方此方を回っている戦士の者よ、
少しこの付近で一休みしたいと思って……、この村の宿屋は此処で
いいのかしら……」
「うわあおーーっ!びっじーんっ!し、しかもーーっ!!」
「ふふ……」
訪れたお客様はとびきり美人の女戦士。女戦士はストレートロングヘアを
掻き分ける。ビキニアーマーから弾けるポロリと、下の部分からちらちら
見えるセクシーなすらりとした長い足。古典的表現で、海外アニメの様に、
ニードがオーバーアクションで、目からハートマークが思わず飛び出た。
……パンッ!!
「いっでえええーーっ!!」
「ニードっ、そうじゃないだろっ!昨夜僕が言った事、忘れない様に!
まずはお客様がいらっしゃった時のお持て成しのご挨拶はっ!?」
「ちぇっ……、分かったよ、えーと……、ようこそ、ウォルロの宿屋へ、
い、いらっしゃいませ……、どうぞごゆるりとお寛ぎ下さいませ……、
こんなモンなのか?」
流石、糞真面目なアルベルト、容赦しない。ニードは叩かれた頭を
抑えながら口を尖らせる。ドキマギしながらも昨夜アルベルトに
散々教わったお客様への挨拶、応対をした。
「OK、最初はこんな感じでいいからね!」
「……」
「何かアイシャが……、さっきからさりげなくオイラ達の方も
見てるの、気の所為……?」
「気の所為だろ、多分……」
(プッ、やっぱりヤローってみんなバカ!スケベっ!きゃははは!もう
一生治んないよネ!)
「モンのおチンも成長したモン?」
……アイシャは慌てて素早くモンを抑え付け、めっ!をした……。
此方の教育は駄目である。
「まあ、若いのに、あなたが此処の宿屋の宿主さんなのかしら?
偉いわね……」
「!!は、はいーい!い、今すぐお部屋へご案内致しますっ!
……おい、従業員のお前ら!じゃ、なかったっ、皆さんっ!
お客様のお荷物をお運びして下さいっ!」
「はいはいっ、んじゃ、今回は俺がやるか、どぞどぞ、此方です……」
「有り難う、助かるわ……」
ジャミルは客の荷物をひょいっと持ち上げると、取りあえず、中の
掃除ももう完璧で、お客様に泊まって貰っても十分申し分のない
客室へ案内する。数分後、ジャミルがのこのこロビーへと戻って来た。
「ジャミル、どうだった……?」
「ああ、あのな……」
アイシャがドキドキしながらジャミルに尋ねると、ジャミルは
笑顔を返した。ベッドの感触も心地よさも最高で、このまま少し
横になって疲れを取ると言っており、夕食まで身体を休めている
との事。
「わあー、喜んで貰えたんだねえ~!」
「モンモンー!」
「まずは一安心て処だね……」
「ふう~、オレもやれば出来るんじゃん、ふ、ふふふふ……、ふ……」
「さ、ニード、宿主さんっ、休んでいる暇はないよっ、次の仕事仕事!」
「……うええええ~っ!?」
アルベルトは思わず気を抜きそうになったニードに引き続き渇を入れる。
まだまだする事は沢山ある。自分達が此処にいられる間、この宿屋を
再生させなければならない。何としても。何れは又ニード1人で宿主と
して頑張って貰わなくてはならないのだから。そして、間髪入れずに
もう次の客がやって来る。
「こんにちは、わたくし、旅行でこの付近まで来まして、此処で休ませて
頂きたいのですが……」
「「ようこそ、いらっしゃいませーー!!」」
「ば、ばあさん……?ちぇっ、つまんねーなあ……」
「……オホンっ!」
4人組は揃って声を揃え、お客様に挨拶するが、入って来た客の姿を
見て、ニードの顔が引き攣るが、アルベルトに突かれる。さっきと
違ってお婆さんだったのが不満らしい。お洒落な帽子を羽織り、
ロングコートを羽織った小綺麗な身なりの老婆である。
「……ニード、忘れてないよね?……お客様へのお持て成しの心、
笑顔……」
「はいーーっ!ようこそようこそ!ウォルロの宿屋へ!小さい宿ですけど、
ごゆっくりお寛ぎ頂ける様、精一杯私達がお持て成しさせていただき
ますっ!!……ゼーはーゼーはー……」
「うんうん、それでいいんだよ……」
「有り難うございますね、では、ゆっくりさせて頂こうかしら、
……あ、ああっ?」
「……あっ!お客様っ!?」
だが直後、お婆さんが急によろけて倒れそうになる。……が、
お婆さんを助け、咄嗟に身体を支えたのは、ニードであった……。
「……だ、大丈夫スか……?」
「ええ、この処……、年の所為か、たまに立ち眩みが起きる事が
ありまして、でも、本当に有り難う、助かりましたよ、お兄さん……、
此処の宿屋、亡くなった主人と昔一度来た事がありましてね、
つい、ふと懐かしくなりまして、来てみたんですよ……、
宿主さんは昔と違うみたいですけれど、お持て成しの心を
失っていない、変らない素敵な宿屋ですね、本当に……」
「いや、そんな事ねえスよ……、へへ、宿を引き継いだつっても
オレなんかまだまだ新人スから、じゃあ、オレが部屋までご案内
します、此方です……」
「まあ……、本当に助かります、ありがとう……」
ニードはお婆さんの荷物を持ち、手を繋いでゆっくり部屋まで
案内を始める。確実に成長しているニードのその姿を見た4人は……。
「や、やった、やったよ、皆……、あのニードがやっと、
自分で……、動いて……、お客様を……、あは、あははは……」
「しかもちゃんとお部屋まで案内してくれたねえ~……」
「ええ、偉いわ、ニード……、お客様のエスコートもちゃんと
出来てるもの……」
「タワシ、頑張ったんだモン!」
「取りあえず、一歩前進かな……、ふ~……」
4人組が喜びあっていた処に、本人登場。異様にはしゃいでいる
ジャミル達の姿に首を傾げた。
「な、何してんだよっ、おめーらっ!……モタモタしてる暇はねえぞっ!
オラ、働けコラーーっ!!」
「了解ーーーっ!!」
ジャミル達は笑いながら自分達の仕事の持ち場に着く。まるで立場が
逆の様になってしまうが、ニードの成長に心から喜んでいた。次の日も、
4人組とニードは力を併せ、二組のお客様へ最後まで精一杯お持て成し
させて頂き、大変満足し、お帰りになって頂いた。そして、その日の夜。
宿屋にはリッカのお爺さんと、べらべら彼方此方で喋り捲ってくれた
モンの報告で、ジャミル達に会いに村中の皆がニードの宿屋の応援も
兼ねて駆付け、集まってくれたのだった。
「ジャミル、有り難う、君達のお陰だ、このバカ息子もやっと漸く
観念してちゃんと宿屋を経営してくれる気になった様だ、感謝するよ……」
「いやいや、俺らはそんな、ははっ!」
「ええ、彼の熱意と頑張りは本当に凄かったです……」
「……うん、そりゃもうね、スリッパの仕置きに必死で
怯えて耐えなが……」
「ダウド……、うふ、うふふふ~……♡」
アルベルトの黒い笑みにダウドは慌てて押し黙るのであった……。
「親父ィィ~、ちぇっ……」
作品名:zoku勇者 ドラクエⅨ編25 タワシ頭の店主奮戦記・1 作家名:流れ者



