暴走王子と散々な影武者
ファルーシュがどこにそんなバカ力を秘めているのかと思うほど強く、ロイの腕を引っ張る。
抗っても抗っても放してはくれない腕は、ずるずると容赦なくロイを引きずっていった。
「いやぁぁ〜〜〜!!!!」
ロイの絶叫が今日も城中に響き渡った。
城の住人は、ああ、また今日もかと、毎度のやりとりを想像して笑う。
ロイがこの城にやってきてから何度となく繰り返されたやり取りは既にこの城の名物なのである。
そして、それに関わってしまった者が涙ながらに白いハンカチをロイに振るという姿も、ある意味名物で。
今日もカイルがその役をやっていた。
お幸せにーと、余計な台詞までくっつけて。
「おぼえてろよ〜〜〜!!」
そんな台詞も毎度のこと。
しかし、このおぼえてろよーが、実行されたことは未だ、ない。
作品名:暴走王子と散々な影武者 作家名:日々夜