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カラの安らぎ、目覚めの行方

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「兄さん、こんなところで何してるんだよ!」
 不意に後ろから投げかけられたのが、焦ったような反響音。鎧を通した幼い叫び声。
「アル……?」
 恐る恐る振り返った。
 鈍色の大きな鎧が、そこに立っていた。
 どっと身体から力が抜けた。
 でも逆にアルに会えた途端、それまで冷え切っていた体中に熱がこみ上げてきて熱いくらい。
 身体も、さっきまでずっと闇に囚われているかのように重たく感じていたのに、今はふわふわと浮いているように軽く感じる。
 アルが「もう、なんて格好しているの」と母親みたいな口調でしかりつける。その声も柔らかく聞こえるのはなぜだろう。
 ああ、でもよかった。本当に、アルはここにいた。
 そう思った途端、足から完全に力が抜けた。
「兄さん!」
 慌ててアルが倒れかけるオレの身体を支える。
 外気で冷やされたアルの鎧がオレの体を包み込む。
 ひどく、悲しいくらいにそれは心地よかった。
 そこで、オレの意識は途切れた。