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【リリなの】Nameless Ghost

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 さらにいえば、本来の機能を取り戻したレイジングハートは一朝一夕ではその機構や機能を解析しきれないほど膨大なシステムを得ることとなった。

「補給といっても、今の技術じゃあ反陽子燃料を補給する手段は無いけど」

 その最たるものは、対消滅エンジンをエネルギー源とする魔導炉であることはいうまでもないことだろう。

《If being, this numerical value calls my lifetime with doing impossible with generation by the kg unit, too. If continuing to narrow down output as the standby in now most, in case of computation, in 30000000, it operates.》(kg単位の生成も不可能とあれば、この数値が私の寿命ということになります。最も、今の待機状態のまま出力を絞り続ければ計算上は3000万年は稼働していられるのですがね)

 精製、ケーシング、輸送。このすべてに置いて反陽子燃料は安全基準を確実なものにすることは出来ない。
 地球に置いても近年盛んに研究が進められてはいるが、その生成のためには街一つ分にもなりうる巨大な粒子加速器を用いる必要がある。そのために投じられる国家予算レベルの巨額の資金。その設備を稼働させるために必要な膨大なエネルギー。そして、実験であるが故に発生する多大なリスク。そんなものを背負ってようやく得られる反物質は量にして数mgにも達しない。
 動力機関の燃料として運用するにはあまりにもコストがかかりすぎるのだ。

 しかも、それは僅か数gの反陽子で街一つを灰にすることができ、さらにその起爆方法は単に通常物質と触れさせるだけという危険性も付いてくる。
 それ故、反陽子は強力な質量兵器にも転用可能であるから、現在の管理局法に引っかかる恐れもある。
 ただし、現状の方は反陽子の運用に関する法規制は定められていないため、レイジングハートに関しては実質的に違法でも合法でもなく判断不可というものに落ち着いている。

 次元世界広といえ、まともに反陽子を生成できる技術は未だ存在していないのだ。それが、魔法技術の発展により素粒子技術が軒並み衰退してしまった事が原因となっているのだが、ともかく普段よりその手の兵器諸々の事に当たっている執務官や提督ならいざ知らず、反陽子、反物質、対消滅に関する語句を知っている局員というのも思いの外少ないのだ。

 故に、今後反陽子に類されるものが次元世界において大規模な問題にならない限り、レイジングハートの所持に関して将来的にも問題はなさそうだとアリシアは個人的な解釈をしている。

「それにしても、3000万年か。それぐらいあれば、補給の問題ぐらいは何とかなりそうだね」

 時間は技術的な問題を解決するものだ数年後、十数年後では分からないがそれが数十年、百数十年後とあれば現状で存在する技術の問題はある程度解決は成されていると信じたいものだとアリシアは思う。
 実際、数百年前には実用不可能として研究が放棄されてしまったトライアル・アーツが、今となってはその後継機達が次元世界の技術を席巻しているのだから。

《Because the technical innovation is dreadful. but however, the human race can be judged that it is possible to fit and not to have to solve the problem because he will fall, being sure 3000 years later, too, too. It is a difficult place.》(技術革新は凄まじいものですからね。もっとも、3000年後では確実に人類は滅びているでしょうから、あえてその問題を解決する必要もないとも判断できますが。難しいところです)

 自己修復機能を持つインテリジェント・デバイスの対応年数を論じることは実は難しい。日常的に受ける損傷や、戦闘中のハードな損傷であっても自己修復機能をフル活動させてしまえば数日のうちで元の機能を取り戻すことも可能なのだ。
 しかし、デバイス全体の平均寿命というものは思いの外短い。それは単に自己修復が不可能なレベルにまで損傷するか、それに関する重要システムが破損してしまう場合が殆どであるが。
 そのようなイレギュラー的な損傷では対応年数を決定させる要素にはならない。

 アリシアは現状では割とどうでも良いことを思い浮かべながら端末のツールが情報取得を完了した事を確認し、本格的な評価を開始した。

 データに上がってきた過去の使用ログが時系列順に並べられ、端末のツールはそれを比較的わかりやすいグラフに示すことで使用者の視覚情報の助けとする。

 使用魔力量のログ、使用したシステムのログ、入力者の指令値に対する出力値との誤差。それらを見て、アリシアはまだまだなのははレイジングハートの全機能を十全には使用し切れていないという評価を下した。

「アクセル・シューターをまだ停止状態でしか使用できていない……か……。開発者としては少しがっかりだね」

 アクセル・シューターは従来の誘導射撃魔法と異なり、その誘導機能の大半をデバイスに依存することで術者にかかるリソースを大幅に軽減しているのだ。実際、なのはの口頭でのレポートからは『魔法を使っている気がしない』程軽くなっているはずだ。

「だけど、『狙いを付け続けなければならないからどうしても注意がそっちに向いてしまう』か」

 人間とはどうしても視覚情報に文字通り”目が向いて”しまいがちになる。人間は外部の情報の大部分を視覚情報から得ているのだ。距離、方位、姿勢、物質の判別に、オプティック・フローによる速度。
 イルミネーターを相手に向けて補足するために使用されるものはやはり視覚である以上それに集中するということは同時に外界情報をそれのみに制限しているということのほかならない。

「やっぱり、イルミネーターも自動化するべきかなぁ」

 アリシアはそう呟き、煙草代わりの禁煙パイポを加えながらチェアの背もたれに乗っかかった。

《Even if it supposes that it automated, there still is a limit in my orbit estimate system.》(自動化したとしても私の軌道予測システムではまだ限界があります)

 レイジングハートはアリシアの独り言にわざわざ意見を述べた。

「分かってる」

 アリシアは深く息を吸い込み、パイポから供給された煙ではない白い蒸気を口から吐き出しながら自身の長い金髪をくるくると弄り始めた。

 アクセル・シューターに使用されているセミ・アクティブ・ホーミング機能は、イルミネーターから照射される魔力波を相手にぶつけることにより反射してくる魔力波を弾頭が追尾するというものだ。