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【リリなの】Nameless Ghost

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 同じ席に座るなのはの母、士郎の妻である高町桃子はリンディと姦しく会話を交わしながら現れた主賓の一人に新しい飲物を差し出した。
 アリシアは「ありがとうございます」と言ってそれを受け取る。

 高町家とアリシアを含めたハラオウン関係の者達の会話は終始和やかな雰囲気で進んだ。
 途中、フェイトの言うお姉ちゃんがここにいるアリシアだと知られたときにはさすがに先方も驚いていたが、高町家も何かと複雑な事情をもつ家庭なのか、そのことは割とすんなりと受け入れられたようだったとアリシアは感じた。
 そして、宴もたけなわ。昼頃に始まったパーティーも時計の短針が1/4回転する頃にはお開きを宣言され、それぞれその後は自由解散となった。
 ユーノを含むなのは、フェイト達年少組はそのままどこかに遊びに行こうという話になったらしいが、残念なことにユーノにはこの後用事があるということで今日はこれで解散と言うこととなったらしい。
 フェイトはこの後なのはの部屋で休憩がてら雑談をするらしい。アリシアもそれに誘われたが、アリシアにもこの後やらなくてはならないことがありそれを断った。
 なのはもアリシアとは一度ゆっくり話がしたかったのか、断られたときは意気消沈していたが、これからはいくらでも時間があるからというアリシアの説得に何とか納得をし、フェイトを引き連れ翠屋から立ち去っていった。

 アリシアはパーティーの後片付けをする高町家の面々に最後にもう一度お礼の挨拶を伝えると、そのまま帰路についた。

 既に先にハラオウン邸に到着していたユーノと共に、アリシアは当初の予定通り本局へと転送しデバイス保管庫へと向かった。

 これから行うことは敵への対抗手段の構築。ある意味でレイジングハートのことをもっともよく知る二人によるレイジングハートの再武装化の作業だった。

「さてと……」

 作業のため特別にあてがわれた作業室のデスクにつき、アリシアはその引き出しに自前でそろえた一週間分の保存食と清涼飲料をしまいながら一息ついた。

「まずは、プランを整えよう」

 その対面に座るユーノもアリシアと同じように長丁場を耐えられる戦力を机にしまいコンソールを立ち上げる。

《Sorry YU-NO and Little Alicia . I give you a trouble》(ご苦労をかけます、アリシア嬢にユーノ)

 部屋の上座に位置するケースに置かれたレイジングハートは二人にそう伝えた。

 アリシアとユーノはレイジングハートに気にするなと伝え、本題に入った。

「話が大げさになったけど、実際再武装はそれほど難しい作業ではないんだ」

 アリシアの話にユーノとレイジングハートは黙って耳を傾けた。

「結局やることは、今までレイジングハートに備えていたリミッターを解除するだけのことだから、そのコードを入力してやるだけで再武装の作業は完了する」

 アリシアはそこまで言って話を中断する。
 だが、それならばなぜわざわざ設備のそろった別室を用意させたのか。ユーノは一応は理解していた。ただ武装の制限を解除するだけでは話は終わらないと。

「つまり、私たちがしないといけないのはレイジングハートをなのはの戦術に合わせた最適化ということになる。簡単に言ったけど、これは結構厄介なことだ。その認識は大丈夫?」

 ユーノは頷いた。
 ただ再武装しただけでは無駄が多い。これから行うことはレイジングハートを真に高町なのは専用デバイスとして作り替えること。そして、その戦術をレイジングハートのリソースのすべてを用いてサポートできる下地を構築することだ。過不足なく、彼女の未来さえも見据えて無理のない成長を遂げられるシステムを構築する。
 これは、一人の人間の人生を作り出すようなもので、そのためには莫大な情報とそれに基づく未来予測を行わなければならない。
 なのはが歩んできた道筋、それに基づく現在、そこから予測される未来。そして、なのははまだ魔法に出会って一年と経っていない素人。それが導き出す未来はまだ無限大にあり、ともすればこれからの作業がその未来の幅を狭めてしまうかもしれない。

「未知への探索はスクライアの本懐だよ、アリシア。僕たちは今まで過去の道筋から今ある未知を解いてきたよね。だったら迷うことはないよ」

《Trust my data , Little Alicia. I believe you too》(私のデータを信用してください、アリシア嬢。私も二人を信じます)

 ユーノとレイジングハートの宣言にアリシアは、

「よし」

 と応え、作業の開始を宣言した

***

  作業日誌

・新暦65年 12月3日

 13:44
 本日よりレイジングハート(以下RHと略)の作業を開始した。短期による突貫作業ではあるが、後々のことも考えて作業日記を付けることとした。
 日付を書いたとき地球とミッドの時差がほとんどないことに気がつく。時差自体も一時間以内の誤差に収まり、主観的にだが一秒の名笹にもずれは感じない。これはユーノからの情報だが少し興味深い。しかし、日誌には関係のないことであるので除外。

 14:30
 RHのリミットの解除に成功。思ったよりも強固なプロテクトをかけていたようだ。認証をリンカーコアの登録にしておいて助かったと思う。指紋、声紋、虹彩などで認証していたらアリシアでは解除することが出来なかった。
 第一段階、プロローグは終了。これより作業は本番を迎える。その前にユーノとミーティングをして今後の方針とタイムテーブルを決定する。

 18:00
 ユーノとのミーティングが終了した。RHの蓄積したデータからなのはの戦術パターンと術式パターンを整理し、新たな制御アルゴリズムを構築することに暫定決定。ただし、データの膨大さからどの程度まで精密にするか、成長変数をどのように設定するか、しきい値の問題や、そもそも戦術データを定量化することが出来るかなどの議題は残るがそれは作業を進めながら決定していくことにあらかた同意。私の仕事はユーノの整理したデータから逐一必要機能の洗い出しと制御アルゴリズムの構築をすることと決定。しばらくはトライアル・アーツ(以下TA)のデータシートと管理局の発注可能パーツ目録とのにらめっこが続きそうだ。

 20:00
 空腹で作業効率が落ちた。地球産のインスタントラーメンなるものを食する。うまかった。こんな非常食ごときに味を求めるとは、地球の住民は些かグルメのようだ。それとも、こういう場合であるからこそ味が重要になると知っているのだろうか。うまいものを食べて作業効率が上がるかどうかは分からないが、ともかく今後はミッドの非常食を食せなくなりそうだ。もう一つ食べたかったが今後のために自重しよう。

 21:00