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【リリなの】Nameless Ghost

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 アリシアはそう思いながら、それにしても自分がデバイスと関わるとどうも人間くさくなってしまうのはどうしてなのだろうと考えた。
 自分にはインテリジェントデバイスのAIに人間味を持たせるような一種の才能というか、ある意味特異体質のようなものでもあるのだろうかとどうしようもないことを考えてしまうが、今はその考察をするときではないと思い立ち思考を打ち切る。

「なのは」

「ユーノ君。久しぶり。身体とか壊してない? ちゃんとご飯食べてた?」

「今回はちょっとね」

「ダメだよ。レイジングハートを直してくれたのはとっても嬉しいけど、そのせいでユーノ君が身体を壊したら意味がないんだからね!」

《Permit by the master, the hit. The work of Euno was to do perfect being. Because most were to do the responsibility being of Little Alicia about Euno's neglecting one's health, too, is it possible for Little Alicia to do if reflecting?》(マスター、そのあたりで許してあげてください。ユーノの仕事はパーフェクトでした。ユーノが不摂生だったのも殆どがアリシア嬢の責任でしたから、責めるならアリシア嬢にしていただけますか?)

「それ、ホントなの? アリシアちゃん」

 レイジングハートの言葉を聞き、なのはは若干子供らしからぬ鋭い視線をアリシアに投げかけた。

「言いがかりはやめて。確かにユーノをこき使ったけど、そうでもしないとあの難局は乗り越えられなかったよ」

 なんかこいつら苦手だなぁと思いながらアリシアは両手を挙げて投降のサインを送った。

《You twined the more boiling, too, and deleted the important data which is important after the master which I am important to. By the intention of the because the grudge is 1 liveness one》(貴方はよりにもよって私の大切な、大切な、マスターの次に大切なデータを削除した。その恨みは一生ものですからそのおつもりで)

 ああ、そう言えばとアリシアはようやく思い出した。そう言えば、修理中に癪だったんでレイジングハートのデータに残っていた高町なのは成長記録なるものをすべて消してやったんだった。
 そりゃあ怒るよねとアリシアはつらつらと思いながら、「悪い悪い、そう言えばそんなこともあったっけ?」と反省のかけらも見えないような謝罪を述べながら腹の底では色々と薄暗いことを考察していた。

(これはあのバックアップが思いの外役に立ちそうだな。後数年、10年も経てばあれを使ってなのはを揺することも可能になりそうだ。しかも場合によれば、レイジングハートに責任転嫁してやれば言い訳だし。これは面白いことになりそうだね)

 それをどのタイミングで使用するか。向こう数年間の暇つぶしにはもってこいだとアリシアは考えながら、ギャアギャアとうるさいなのはとレイジングハートを宥めなる。

 無意識ながら、着実に弱みを握りつつあるなとアリシアは思う。クロノの弱み、ユーノの弱み、なのはの弱み、かつてアースラで繰り広げたエイミィとリンディとの情報戦争で得た二人の弱み。やはり、人生はこうでなければ面白くないとアリシアは薄暗い感情を大いに楽しんで転がした。

 一通りのじゃれ合いを終えたアリシア達は、さてとと肩を卸し落ち着いて地球のハラオウン邸に待機中のエイミィに連絡を取る。

『そう、無事受け渡しは終了したんだね』

 バルディッシュの通信画面に映るエイミィのホッとした様子を見ながら、アリシア達は海鳴の仮設駐屯所への直通トランスポーターに向かっていた。

「なかなか平穏無事とまではいかなかったけどね」

 なのは、フェイト、ユーノの後方のアルフの隣を歩きながらアリシアはそう言って苦笑を浮かべた。

「あう、ごめんなさい」

 ユーノのことになると暴走してしまいがちのなのはは申し訳なさそうにシュンと声を潜める。
 エイミィは「あれあれぇ」とからかうようになのはの表情をのぞき込むが、流石に通信越しにそれ以上からかうことは出来ないようで、すぐに話題を元に戻す。

『それじゃあ、戻ってきたら色々と説明したいこともあるから、なるべく早く……』

 エイミィがそれを言い終える寸前、画面越しのコンソールルームに非常警戒宣言の発令を示す真っ赤なアラートと、画面の左下に《Caution》のサインが浮かび上がった。

「どうしたの、エイミィ」

 何が起こったか、今のこの状態において非常にわかりやすい状況が舞い込んできたという証だった。
 フェイトは、その瞬間まるで風になったように駆け出し、通信画面を投影していたバルディッシュもそのまま一緒に本局の廊下を駆け出していく。

『至近にて警戒対象2確認。武装隊が目標朱と青を補足し、現在周囲を固めてる。えっ!? 執務官? って、クロノ君が現場に急行?』

「エイミィさん、私たちも行きます。クロノ君達の所に送ってください」

 トランスポーターに到着し、息を荒くするなのはは首にかけられたレイジングハートを手に握りしめ、はっきりとした意志を持って戦う決意を固めた。

『分かった、転送先を変更するから少しだけ待って』

 エイミィはそう言って一旦通信を終了し、そこにそろうメンバーの前から姿を消した。

(出撃前のこの一瞬の緊張。やっぱり堪らないな。最高の一瞬だ。戦いのすべてはこの瞬間にすべてが集約されている。そうは思わないか? プレシード)

 胸の前でギュッと手を握りしめ、心臓の音をレイジングハートに聞かせるように瞑目してたたずむなのは。
 そんななのはを見て、アリシアに目を向け、アルフと何か念話で話しをしている様子のフェイト。
 胸中に何かを持ち、それを果たすことを願う男の表情を見せるユーノ。

 皆が皆、この戦いで得たいものがあり、成し遂げたいものがある。そして、それが敵と相容れず共に譲歩できないことであるから人々は戦い続けるのだ。

(《I can not measure the feelings. Your Highness》(私にはその気持ちは計りかねます。ユア・ハイネス))

 アリシアの念話を受けて、しばらくその意味することを考察していたプレシードは結局それを理解することは出来なかった。

(レイジングハートなら、「相変わらず|変態(アブノーマル)ですね、アリシア嬢。いえ、|中毒者(ジャンキー)というべきですか。どちらにせよ、まっとうなものではありませんが」ぐらいは返してくるぞ)