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カイトとマスターの日常小話

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迷子の迷子のカイトくん







 夏休みに世間は入り、連休だ。


 仕事も一段落し、今日は郊外のショッピングセンターにカイトと買出しに来た。カイトは久々の遠出と、滅多に食べれない店頭販売のアイスを食べにどこに行こうか、何を食べようかと車の中で大はしゃぎしていた。駐車場についた瞬間、どこの子どもだって勢いで駆けていこうとするカイトのサマーマフラー(クソ熱いのに巻かないと気がすまないらしい)を慌てて掴んだ俺は犬の散歩に来たような気分になった。
 さて、中は夏のセール中なこともあって、人が多い。…来なきゃ良かった…と一抹の後悔が過ぎるが来てしまったものは仕方がない。


「カイト、人多いから、逸れんじゃねぇ…って、いねぇし!!」


隣に先までいたはずのカイトの姿がない。…言う前からコレか。…と思ったが、カイトの居そうなところは三ヶ所…31か、ブルーシール、コーネルアイスのどっかだろ。アイツはアイスしか目にないからな。うん。…先に今回の買い物を済まそう。俺はエレベーターで3階に上がる。上から順に下りて、最後に食料品を買うか。今日の買い物の目的はカイトの服だ。…カイトの服がいつまでも俺のお下がりなのもなあと思って、新しいのを買いに来たんだが当の本人はいねぇし。…どんなものがいいのか一緒に選ぶつもりだったんだが、カイトは何でもいいですって言いそうだしな。ま、サイズは俺と変わらないから、適当でいいだろ。…インナーと靴下…このシャツ、カイトに似合いそうだな。じゃあ、これと、次の外出のときに着せるか、このパーカー。…後、スウェットと、ジーンズとカットパンツも2本くらい買ってやるか…。…会計を済ませると結構な量になった。…生憎と荷物持ちは近くに居ない。
「…確か、この階に31があったな」
カイトのものはカイトに持たせるのが当然だ。この後は食料品の買出しがある。荷物持ちは必要不可欠。俺は31のあるフードコートへと足を向けようとしたのだが、とんっという軽い衝撃に動けなくなった。…子どもにぶつかったか?…いや、そんな不注意なことはしないはずだが…足元を見やる。真っ白な帽子の頭が目に入る。腰下にその頭はあって、どうみても子どもが俺の足にしがみ付いていた。
「…えっーと…」
どこの子どもだ?迷子か?…暫し、逡巡し、どう口を開こうかと迷っていると、子どもが顔を上げた。
「ますたぁ?」
「……カイト?…?!」
顔を上げた子どもの大きな瞳は見慣れた蒼。そして、帽子の隙間から覗くのは蒼い髪。…カイトだった。…いや、でもウチのカイトではない。…アイツがどんなに変わろうが俺があのアホ面を間違える筈がない。
「ますたぁ…ちがう…」
ぐしゃりとちびカイトの顔が歪む。大きな蒼い目がうるうると大きな粒をこさえていく。
「…うぇ…」
泣く! 俺は慌ててその場にしゃがみ込んだ。
「待て、泣くな。お前さんのマスター、探してやるから」
「ふぇ?」
頬につるっと落ちた涙を指先で拭って、怖がらせないように微笑う。
「お前さん、お名前は?」
「…かいとー」
「…カイト…か。…最近は小さいタイプもあるんだな。知らなかった…」
技術は日々進歩しているらしい。しかし、こんなにちびっこで歌えるんだろうか?
「マスターの名前解るか?」
「…うー。…あるじどの」
「あるじどの?」
「がっくんがますたぁ、そうよんでるよ」
「…がっくん?」
「がっくんはねーせがたかくてー、かみがながくて、なすがすきなの」
…それって、アレか。最近、発売された某ビジュアル系のボーカロイド…?
「一緒に来てるのか、そのがっくんも?」
それにちびかいとはこくんと頷いた。…そのボーカロイドなら、顔解るし、派手だし、「あるじどの」を探すよりは簡単に見つかりそうだ。多分、あるじどのも一緒だろうしな。
「んじゃ、おじさんがだっこしてやるから、マスターが見つかったらおじさんに教えてくれ」
「あーい」
腕を広げると、ちびかいとはぎゅうっとしがみついてきた。それを抱き上げる。…それにしても何と言うか、やっぱり、このカイトも警戒心がゼロだ。俺が悪いひとだったらどうすんだよ?…KAITO全般こうなのだろうか?…ウチのカイトは大丈夫だろうな?…ちょっと心配になった。





「…ううっ、迷う、迷うなぁ…」


ブルーシールにしようか、やっぱり31か。コーネルアイスも捨てがたい。…−31度の鉄板でつくるアイス…食べてみたいな…。ああ、どれも全部食べたい。…お金あるけど、これ今日ここで使っちゃったら、一ヶ月分のアイスが買えなくなるし…ううっ…迷うよ…。マスターに奢ってもらえないかな?
「マスター、アイスおごってくだ…って、え?」
…って、そう言えば、マスターは?はっと我に返る。隣に居ると思ってたマスターは隣にいない。…もしかして、はぐれた?…僕、迷子?………っ、どうしよう!マスター探さないと!!


 どんっ!!


慌ててマスターを探そうと踵を返そうとした瞬間、誰かに思い切りぶつかってしまった。…ううっ、鼻が痛い…。
「そなた、大丈夫か?」
随分と時代劇っぽい喋りだな…そう思いながら、痛い鼻を押さえて、顔を上げる。
「はい、大丈夫です。すみません、僕、慌ててて…」
僕より目線が若干高い、深い紫色の瞳とかちりと視線が合う。…このひと、僕と同じボーカロイドだ。…えっと、確か、……ネットで急いで名前を検索する。
「神威がくぽ…さん、だ」
うわー、僕、初めて自分以外のボーカロイド見たよ。僕の姉妹たちとは違う社のボーカロイド。それでも、何だか親近感がわく。初めましてと口を開きかけて、遮られた。
「カイト殿、目を離した隙に随分と大きくなったであるな」
「?」
大きく?…僕は元からこの大きさだけれど。
「がくぽー!カイトいた?」
「いたぞ」
息を切らせて走ってきたのは眼鏡をかけた可愛い感じの女のひと。その女のひとが僕を見て、目を大きく見開いた。
「か、カイトが大きくなってる!!」
どうやら、このがくぽさんの他に僕がもうひとりいるみたい。
「…えーっと、僕はカイトですけど、あなたの知ってるカイトじゃないですよ?」
一応、誤解を解くためにそう言うと女のひとは、
「…そうよね。あの子がいきなりこんなに大きく立派な子になる訳ないし…」
しおしおと項垂れてしまった。
「主殿、元気を出すのだ」
「…あの子、どこに行っちゃったのかしら…ああ、私がちゃんと手を繋いでなかったから」
「某も気をつけていれば良かったのだが、あの人ごみでははぐれても仕方がないであろう」
「…ううっ、セールに負けた私が悪かったのよ…」
女のひとの腕には紙袋が二つ。彼の手にも五つ紙袋が握られている。
「がくぽ、あの子、連れ去られてしまったらどうしよう!!」
「落ち着くのだ、主殿」
「かいと、可愛いし…今時、変質者ばっかりだし、攫われちゃったら…!!」
「妙な想像は止めて落ち着くといい。取り合えず、迷子センターに放送を頼むのがよかろう」
「…そ、そうね」
うん。よく解らないけれど、僕もそれがいいんじゃないかと思った。でも、僕もそこに行きたいって言ったら、笑われちゃうかな…ううっ、マスター、どこにいるんですかーっ!?