二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

初恋をつらぬくということ

INDEX|15ページ/26ページ|

次のページ前のページ
 

英太はどこまで気づいているのだろうか。
桂とは身分違い。
それが友達関係を指すのか。
そんなわけないだろうな、と銀時は思った。
英太は銀時が桂に対して友情以上の想いを抱いていることに気づいているのだろう。
そのうえで、身分違いだと忠告してきたのだ。
銀時の胸に苦いものが広がる。
自分と桂は男同士だ。
桂が自分と同じ気持ちであるとしても、同性であることが障害になる。
さらに、身分違い、か。
英太に指摘されるまで、それを忘れていた。
まぬけな話だ。
「……じゃあ、そろそろ行くか」
英太が軽く告げた。
そして、立ちあがった。
「ああ」
同意して、銀時も立ちあがる。
木陰から出た。
途端に、太陽の強い陽ざしが襲いかかってくる。
肌を焼かれる。
汗がふきだしてくるのを感じた。

昨夜から降り始めた雨は、桂が藩校から帰る頃になっても降り続いていた。
道に人通りはほとんどない。
雨の降る音ぐらいしか聞こえない中を、桂は歩く。
ふと。
背後にひとの気配を感じた。
だれかが急ぎ足でやってくる。
やがて、隣に並び、そして、通りすぎていくのだろう。
そう桂は予想した。
だが、その予想が合っていたのは隣に並ぶところまでで、その者が通りすぎることはなかった。
「……よォ」
声をかけられた。
ぶっきらぼうな低い声。
聞き覚えのある声だ。
顔を確認しなくても、それがだれなのか即座にわかる。
幼い頃からのつき合いの友人だ。
「銀時」
それなのに、なぜか胸が少し痛んだ。
作品名:初恋をつらぬくということ 作家名:hujio