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初恋をつらぬくということ

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銀時とは関わりを絶つように養父から言われている。
あのときは、拒絶した。
もちろん、今もそんなつもりはない。
だが、会うことすら周囲から止められる相手と、この先どうなるというのか。
友情ならば続けていける。
しかし、恋、なんて。
好きだから。
相手もそう想ってくれているから。
だから、それで、その先どうしたらいい。
自分は桂家の跡取りだ。
しばらくすれば、結婚の話も来るだろう。
ある程度の家格の武家の者の結婚には、藩の許可がいる。
結婚は本人同士の問題ではなく、それぞれの家の問題なのだ。
そこに恋愛は関係しない場合がほとんどだ。
結婚式の当日に初めて本人たちが会うことさえある。
自分もおそらくそうなるだろうと、桂家に養子に入ったころから、うっすらとだが予想していた。
しかし、年老いた養父が病に倒れた今、はっきりと見えるようになってきた。
自分がこの家を継ぐ。
この家の当主となる。
それがどういうことなのか、これまでも考えていなかったわけではないが、強く意識するようになった。
責任の重さを、まるで身体の上にあるかのように、感じるようになった。
好きだと言われても。
では、その先になにがある。
自分もそうだと応えて、その先になにがあるというのか。
駆け落ちでもするというのか。
それは家を捨てることだ。
できない。
そんなこと。
それでは、先のないことをわかっていながら、火遊びのように関係を持つのか。
そんなの、嫌だ。
自分は、嫌だ。
それぐらいだったら、最初から応えないほうがましだ。
「俺はおまえの気持ちには応えられない」
きっぱりと告げた。
だが。
本当は。
こんなことは言いたくなかった。
胸が痛んだ。
しかし、どうしようもないと思った。
作品名:初恋をつらぬくということ 作家名:hujio