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初恋をつらぬくということ

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久坂の言葉が心に引っかかる。
まるで予防線だ。
今の時点では嫌でも、この先そうではなくなる可能性を感じているのか。
なにか思いあたることでもあるのか。
銀時は最後の石段から道におりたあと、久坂の横顔をじっと見る。
いつものように微笑んでいる。
その下にある本音を読み取ることは難しい。
久坂の眼が銀時のほうに向けられる。
「先のことはわからない。ただそれだけのことだ」
のんびりとした調子で告げ、その眼をふたたび進むほうへと向けた。
左右に田圃の広がる道を歩く。
歩きながら、銀時は腑に落ちない気分でいた。
先のことはわからない。そんな一般論のようなことではなかったと思う。
この先も絶対そうだと限らないと告げたとき、久坂はなにかを想定していた。
そんなふうに銀時は感じる。
しかし。
「桂は高嶺の花だよ」
ふいに久坂が言った。
その言葉に、心をかき乱された。
どう返事をすればいいのかわからず、銀時は黙っている。
「でも、僕には、君に向かって枝を伸ばしているように見える」
久坂の眼は道のほうに向けられたままだ。
「だからといって、その枝を手折っていいとは限らない」
秀麗な顔に笑みを浮かべ、何気ない様子で、言う。
「花はその場所で咲いているんだ。ほしいからって無造作に手折れば、花は枯れてしまう。根ごと持ってきて、花の時期かどうかにかかわらず大切にする、その覚悟がなければ駄目だよ」
その声はやわらかかった。
けれども。
覚悟。
その言葉が、胸に突き刺さった気がした。
桂に告白したとき、自分は久坂の言ったような覚悟をしていただろうか。
いや。
自分の欲望をそのまま口にしただけだ。
桂の立場を考えずに、気持ちをぶつけた。
それに対して、桂は返事をした。
そんなことを言われたって応えられるわけがないだろう、と。
自分を恥じる。
作品名:初恋をつらぬくということ 作家名:hujio