GANTZ Paradise Lost 野球星人篇
一時間後・・・
さて、あの授業の後、俺は近くのコンビニで買ったヤングジャンプを読みつつ家路についていた。
あ、そうそう自己紹介が遅れたな。
俺は工藤直人。
都内某所の私立高校に通う、高校2年生だ。
突然だが、俺は正直、こんな世の中見下してる。
何でかって?決まってるだろ?
どんなに躍起になってあくせく勉強や仕事したとこで、結局は誰かに搾取されたり、見捨てられるんだ・・・
それくらいなら何もしない方がいい。
それに、今その辺を歩いてるオッサンやオバハン連中は長生きしたところで何も学ばないだろうし。
もちろん、若い奴はなおさらだ。
脳味噌ツルツルに違い無え、いやむしろ、ぜッてーそうだ。
・・・と、いつものようにそんな事を考えながら帰宅していると・・・
「ん?ひょっとしてナオ、ナオか?」
後ろから懐かしい声がする。
振り向くとそこには肩にかかる程度のセミロングの髪形に前髪を白いピンで纏めた美少女がいた。
・・・いや、でもコイツ男物のブレザー着てるから・・・男か?
「おお、そうじゃ、やはりナオじゃ!久しいのう!」
・・・何だ、コイツ・・・喋り方変だし、女のくせに男物のブレザーだし、これは・・・あれか?今流行りの女装男子ってヤツか?
「・・・まさか、覚えておらぬのか・・・?」
「いやいや、覚えてるも何も・・・あんた、誰ッスか・・・?」
「ぬう・・・まあ、小学生以来じゃからの・・・忘れていても無理はないか・・・」
小学生以来?
・・・あ、思い出した。
「お前・・・秀吉だっけ・・・?」
「やっと思い出したか!」
そう、コイツは俺の親友、木下秀吉だ。
まあ、親友っつっても小学生ん時のだがな・・・。
「悪い悪い、ど忘れしてたわwww」
「・・・まさかとは思うがわざと忘れたフリをしていたわけではなかろうの?」
「違うってwつか、もう8年経つんだぜ?そら、忘れるわ・・・」
「む、そうか?ワシは覚えておったがの」
「んまあ、秀吉は昔から記憶力だけは良かったからな・・・」
「“だけ”ってなんじゃ!“だけ”って!!」
「あ、ゴメン。。。」
談笑しながら帰る家路はやっぱ楽しい・・・
・・・何か、あの頃に戻ったみたいだ。
思えば、あの頃は何かあるたんびに秀吉とバカやってたなあ・・・。
そんなことを考えながら共に帰宅していると・・・
「・・・!?ナオ、あれ・・・」
秀吉は車道を指差す。
そこには・・・
「うわ、何してんだ、あれ・・・!?」
車道で大の字になって寝ているオッサンがいた。
しかも呑気な事に鼻提灯出して寝てやがる・・・
「・・・っ!」
すると、秀吉がバッグを放って車道へ飛び出した。
「お、おい、秀吉っ!?」
「何じゃ?ナオ?」
「お前、何してんの!?」
「決まっておろうが!あの酔っ払いを助けるんじゃ!」
「はあ!?何でお前が!?他のヤツに任せりゃ良いじゃん!!」
「他に人、おらぬじゃろうが!」
・・・確かに助けを呼ぼうにも周囲に人がいる気配はない。
そうこうしている間にも秀吉は酔っ払いに駆け寄り、そのまま介抱した。
「ちっ・・・あーもう!」
ここまでいったら手伝うしかねーだろッ!
「秀吉!肩借せ!」
「すまぬ、ナオ!」
そのまま酔っ払いを中央分離帯に運ぶ。
「しゃっ・・・やれやれ、お前も無茶するぜ・・・」
「ふう・・・多分お主の影響かも知れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
・・・飛んだ。
・・・・・飛んだ?
・・・・・・・何が飛んだんだ?
最初は理解できなかった。
次の瞬間、俺はやっと理解した。
何で?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・俺の目の前に、秀吉の生首が飛んできたからだ。
そして俺の意識も次第に遠のいて行った・・・・・・・
作品名:GANTZ Paradise Lost 野球星人篇 作家名:プラスチッカー