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無題if 赤と青 Rot und blau

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自分を見つめる青い瞳。ああ、自分を好きだと言って、花をくれた、あの少年のやさしい瞳だ。それを自分が間違えることなどある筈がない。絶対にあの子だ。想いは確信に変わる。彼の名を呼ぼうと開きかけたイタリアの言葉を遮るように、後ろからプロイセンが子どもの瞳を覆った。イタリアは顔を上げ、プロイセンを見やった。

「…プロイセン、その子、もしかして…」

青空の下、手を振った。自分をいつまでも見つめていた青い、瞳。

「…彼の「記憶」はもうない。そして、今は俺のものだ。イタリアちゃんにも渡せない」

子どもは身じろぎもせず、プロイセンの腕に囲われ、その身を預けるようにその腕の中にいた。その中で守られ、自分に危害を加えることもないと解っているのか、その口元には穏やかな微笑さえ浮かんでいる。

「…欲しかったら、俺から奪え。俺より、こいつを愛せるというのなら。…そのときは、イタリアちゃんに譲ってやるよ」

赤い目が不適に笑う。そんなことは絶対に有り得ないだろうと、自分以上に想う者などいないだろうと雄弁に告げていた。




「…言ってたくせに、どうして。…酷いよ、プロイセン」




澱んだ空を見上げ、イタリアは目を覆った。辛くて、苦しくて、悲しくて、泣いてすべてを吐き出してしまいたいのに涙は出てこなかった。






作品名:無題if 赤と青 Rot und blau 作家名:冬故